内容説明
洗練された品々が並ぶ日本橋十軒店の雛市。上野・寛永寺の清水堂から眺める桜と不忍池。屋根船に乗って、深川洲崎の潮干狩り。水道橋の名店・森山のうなぎに舌鼓……。現代から文政の江戸へ転時した洋介と、辰巳芸者いな吉が、春から初夏にかけての江戸を巡り歩く。好評「大江戸シリーズ」第7弾! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
12
科学評論家の主人公が、文政5年の江戸時代にタイムスリップしてしまう騒動を描いた大江戸シリーズ7部作の最終巻。最終巻でありながら、物語の結末は無く、まだまだ話しが続きそうな結びであった。1979年に第1巻の大江戸神仙伝が刊行され27年を掛け7作を発表をし、もう37年も経っていると思うと感慨深く、続編が待ち遠しいと思いながら本作を読み終わった。本シリーズは、現代人の視点で江戸文化を見直し、日本人の原点を思い起こさせる秀作であった。少々大げさだが、自分の人生観迄のも影響があったとも思える作品集です。2016/08/03
kagetrasama-aoi(葵・橘)
6
「大江戸シリーズ」の第七作目。この本の単行本が2006年に上梓されていて、それ以来新作が発表されていません。後書によると、作者さまの意欲は衰えていないご様子、次作を気長に待ちたいです。今巻は、洋介は江戸のいな吉のところへ殆ど行ったっきりです。江戸の夏を二人で思う存分楽しみます。”名所図会”や”江戸切絵図”が挿し絵になっていて、とても読みやすく江戸の風情を私も楽しめました。一番印象に残ったのは、当時の潮干狩りの様子です。秋の、冬の、そして春の江戸の風情をいな吉と楽しむお話を読みたいです。2018/02/06
真理そら
4
1~7を読み終えた。流子といな吉、現代の東京と文政の江戸のどちらか一方に絞り切れず、消費文明を批判するもののその文明を知っているからこそ得られる江戸での地位。という考えようによっては凡人そのものの洋介が可愛い。1巻では流子を選んで現代に戻ったはずだが洋介はいな吉の方が好きなのだろう。ふんだんにある濡れ場で流子相手の時はいな吉が登場する。何かの暗示としか思えない。それはともかく図版も入って江戸の四季を楽しめる素敵な作品だった。現代人も季節の変化や様々なものに興味を持つひとつながりの日本人だと感じたのも事実。2017/03/21
南註亭
2
図版を確認するつもりが、読んでしまいました。小説としてのおもしろさは多少減退していますが、それでもタイムスリップものの類書とくらべると、中身がしっかりしているので安心して読めます。2012/05/04
カラヤ3
1
環境汚染などなかった江戸時代だと、確かに新鮮な魚介類をおいしく食べることができただろう。2020/03/28