内容説明
新田義貞の末裔・岩松家はわずか百二十石の石高と霊験あらたかな「猫絵」でその名を知られていた。二十一代当主・満次郎俊純が明治維新後に男爵に叙せられるまでの波瀾万丈の日々を、幕末の世相・騒乱とともに描く。『猫男爵』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
本当に神坂さんは実在した面白い人物を探し当てますね。元禄御畳奉行から始まって、このような大名がいたとは思いもよりませんでした。この大名が書いた猫の絵がこの文庫に収められています。いまの時代だったらかなり評判になったでしょうね。雑誌に連載されていたようで、一つの話題ごとにまとまっていて一気にとはいかないけれど読みやすく感じました。2016/03/26
優希
44
面白かったです。わずか120石の大名がいたことに衝撃を受けました。「猫絵」で名を知られていたことから男爵に叙せられるまでの日々が興味深かったです。幕末動乱とも絡めて描いています。2023/05/13
西澤 隆
4
偉人として扱われることの多い家康や吉宗の酷評をはじめとして傅役藤兵衛や江戸でのお耳役藤蔵が若き日の主人公岩松俊純に語り聞かす生活者側からの歴史は痛快だし、その流れでしっかりと本音の世界の人情の機微を学んだ俊純が歩く幕末の日々もまたいい。時に生活に窮しながら日々笑ったり怒ったりしているお題目ではない日々。サザエさんのようにこのまま永久に続くんじゃないかと思う時間が急に展開して明治になったりするあたり維新というのはムリヤリだったのだなあとも思ったり。不覚と書いて「スカタン」と読ませたりルビの妙も楽しみました。2016/04/06
Atsushi Kitamura
2
さて、中身の方はと言うと、新田の嫡流と言う貴種ながら、家康に家系図を渡さなかったため、120石という新田岩松家最後の殿様、俊純の日記を基に構成した伝記ものになっています。伝記と言っても、その当時や江戸初期の出来事を幅広く取り上げていて、「江戸」フライデー的小説になっています。 話の内容に大きな華はありませんが、庶民に非常に近い(何と言っても年収380万円相当の殿様ですから)目線で描かれた、市井の物語として楽しく読めます。 どうやって、380万円でやっていけるかって言うと…そこが猫大名の名前の由来です。2009/10/13
カレー
2
120石の大名がいたなんて。 我が家にも猫絵が一枚欲しいなあ。2013/01/31