内容説明
なぜ、彼はこの半世紀、人びとの関心を集め続けてきたのか。「男が惚(ほ)れる男」だった父・潔と、「日本で最も愛された男」と言われた弟・裕次郎へのコンプレックスから、新銀行東京問題までを徹底取材。大衆の心にひそむ欲望を、無意識に、しかし過剰なまでに映し出す鏡であり続けてきた慎太郎の本質を暴く! (講談社文庫)
目次
第1部 海の都の物語(「泥亀」と店童 父母の面影 樺太縦断 坂の上の家 ドンちゃんの放蕩)
第2部 早すぎた太陽(戦争の光と影 十九歳の家父長 衝撃と反発 浄霊ファミリー 無意識過剰)
第3部 「てっぺん」への疾走(若い日本の会 政治への跳梁 密約と裏切り 唯一の汚点 三度目の勝利 総理か都知事か)
第4部 落陽の季節(泣いて馬謖を斬る 失われた花道)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
31
石原慎太郎をそのルーツから都知事時代のトピックまで論じた作品。本人含む関係者へのインタビューや綿密な調査に基づく大作なのだが、石原慎太郎本人でなく周囲の人物を中心に論じていると感じる章があり少し散らかっているように思えた。それもあって同氏の父に関するエピソードはじめ現代からイメージしにくい古い時代を扱った章が特にわかりにくく感じた。2022/10/16
さきん
19
著者は石原氏に批判的だろうか、随分ずけずけとコンプレックスがどうとか書いていた。確かに私も石原氏を批判的には見ているが、書き方は随分石原氏に対して失礼というか、本人が読んでも不愉快な気持ちを抱かせるのではないかと思った。しかし、小樽や樺太、逗子や当時の日本の状況が伝わってきてよかった。弟さんの裕次郎は演技上手いと思っていたが、ここまで一世を風靡していたとは思わなかった。2016/09/16
金平糖
8
嫌いな人物の話を読むのがこんなに辛いとは(>_<;)ムカムカして、とっても苦戦。「マツ☆キヨ」のお二人も新銀行とオリンピック招致に関する税金の無駄遣いを怒っていたが、尖閣を買うとまで言い出し(都税はあなたの財布じゃないんだ)と呆然唖然。そのルーツは昔にあったと知る。今日の野田総理との会談では一切触れなかったのは溺愛している長男の政治的立場を考えたのか?石田葛飾区議会議員は公私混同した税金の無駄遣いを指摘。大手銀行やホテルへの課税についての反論を理論的に指摘している鳥取県片山知事に好感。嗚呼あと三年も…2012/04/27
Katsuto Yoshinaga
5
石原氏については、芥川賞作家、元国会議員、元東京都知事で、えらく押し出しの強いタカ派のトリックスターかしら…?という知識・印象ぐらいしか持っていなかった。先日読んだ西村賢太氏の作品の解説を石原氏が書いていた。石原氏の解説も実に的を得たものに感じ、そこで本書を手にとった次第。石原氏の諸々をあぶり出し引導を渡すといったようなことが書かれているが、さほど政治的な瑕疵に突っ込んだことは書かれておらず、氏の作家・才能人としての凄みがやたらと印象的で、私は文人政治家もしくは政治的文化人の評伝として面白く読めた。2015/04/15
Akio Kudo
4
★★★★★ 石原慎太郎の功罪、罪しかないかもしれない。2024/05/01