内容説明
苦笑、失笑、嘲笑、哄笑――。世の中、笑い事ではないけれど、ぐるっと見回せばあちこちにつつきどころがあふれんばかり。言葉のもつ面白さ、政治と社会への溜め息、文化が受け継いで来たぬくもり……。シニカルながら温かい、著者ならではの視点が光る! 日々の思いを綴った現代版『徒然草』的エッセイ集。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
79
年齢と花粉症のせいにするなら、45もの話題は多すぎて、「ふふふ」と笑いながらもしばらくすると、「あれっ、何でふふだったんだっけ?」と、また戻ったりしてなかなか集中できませんでした。一番のふふふは「自分の好きなもの」。わたしの好きなものは何だろうと考えてしまいました。すぐに思いついたのは、猫の前足の仕草。8才の孫に聞いたら、炊き立てのご飯のにおいと言っていました。好きなもの貯金、いいですね。ふふふとできないものは万引きと雷の話。長く生きていると本当に強烈な経験をしますね。2017/04/16
こうちゃん
14
大好きな天才戯作者のエッセイ。 政治や歴史の批評、雑学、芝居、野球などから井上ひさしのモノの見方、考え方が分かって面白い。 愚痴で終わることもある。 「ロバートの規則」に書かれているように、『平凡』のなかに人生の大事なことがあるのかも知れない、本当に。 【ふふふふ】を先に読んだのだが、面白さとしては、ふふふふの方が良かったかな。 2025/11/15
いちⅡ
5
作者晩年。21世紀の時事ネタを交えたエッセイです。向田邦子のエッセイの後なので、年も時代も違うけど、男女で内容に差が出るなあと。ただ意見はどうあれ情報量もネット慣れしてる若者とは差があるかもしれないけど、何か正しい情報を掴もうとする姿勢とか、憂いているのは確かで。2019/07/14
Hirotoshi Imagawa
5
「ふふふ」と笑える随筆集。ギャグの神様やてんぷくトリオの話があるかと思えば、手厳しく政権政党を批判する文章も出てくる。「ボローニャの乞食組合」ではお互いを尊重して、共に良い街を作っているイタリア人の姿が記される。ここは興味深い。そういえば未読だが作者には「ボローニャ紀行」という本があったことに思いあたった。2013/11/27
ハンギ
4
井上ひさしのエッセイ集だけど、政治的な話が多くて面白かった。ブッシュ、小泉を構造改革ごと容赦なく批判していて、もっと早くに読みたかったなあ。文芸部の進行係時代の話も面白く、低賃金ながら重責があるなど、昨今のアニメの制作進行がひそかな注目を浴びているようだけど、結構重なる気がする(そもそもこの「進行」という役職はどこからきたものだろうか)。歌舞伎のツケの話など、歌舞伎にも音響があったのかと蒙を開かれた思いがする。野球が大好きなようで、企業中心の野球チームよりも地域に根差した野球の在り方を求めているようだ。2015/03/10




