内容説明
室町末期、応仁の乱で疲弊した京。5年ぶりに都へ呼び戻された番匠・橘三郎右衛門は、公方御大工の父から、足利義政が隠居所として東山に山荘をつくることを聞かされる。同業者たちとの駆け引きや、口うるさい上様の注文をしのぎつつ、棟梁として技の限りを注いだ、三郎右衛門の最上級の建物を造る闘いが始まった。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
48
初めて読んだ作家さんでした。応仁の乱で荒れ果てた京の都に建立された銀閣寺。京都の銀閣寺は有名ですが、建立を命じた将軍足利義政ではなく、これを建立した番匠の視点で書かれている点が興味深い。こんな昔から建築設計の「プレゼン」とかがあったのですね。★★★★
Porco
20
銀閣を建てた大工が主人公の歴史小説。どのように受注し、どのように建材を入手し、どのように建てたのか、といった細部を、よく調べ上げたものだと思います。2017/12/18
誰かのプリン
17
応仁の乱の後、失墜した将軍家、度重なる税金に喘ぐ民・百姓。そんな最中銀閣寺を建てろとの命令が公方御大工に下される。 当時の市民生活や情勢が良く描かれている。★★★☆☆2017/12/17
真理そら
14
『南大門の墨壺』がおもしろかったので、同じく歴史的建造物を番匠・橘三郎右衛門視点から描いたものを読んでみた。期待通り楽しく読めた。資金調達、材料調達に汲々とする様子、後世に残る美しく品格のあるものを作ることに没頭する番匠の様子、周辺の、たとえば雛形を預かった楽阿弥のこずるい立ち回り方などの様子、とりあえず出来上がった場所でちんまりと座っている足利義政、子育てに失敗して妻に責められる三郎右衛門等々歴史の流れと個人の生活が混然一体となって描かれていて読み応えがあった。2018/04/17
うたまる
5
「だが、ここにこそ極楽浄土はあるのだと言いたかった。仕事をする自分の手の内にあるのだと」……再読。歴史的建造物を番匠の視点で描くというのは、山本兼一『火天の城』とコンセプトが共通する。こちらは室町中期、足利義政の銀閣寺の建立譚。徹底して厭世的に生きた義政が更なる苛政を強いてまで作り上げたかったのは、自分だけの安息地としての極楽浄土。一方、家庭の不幸を抱える番匠もまた、銀閣寺完成に自己の投影を見る。違いは、己の分限の範囲で為すべきことをしたかどうかだ。例え挫折しようと己の人生を生ききったかどうかだ。2015/05/27
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