内容説明
奥州平泉のさらに山奥深い糠部の地に育った馬の巧みな少女由衣は、従弟の八郎丸や兄弟達とささやかながらも、幸せに暮らしていた。しかし従弟だと思っていた八郎丸が実は義経の落胤であったことから、頼朝の奥州平定に藤原勢として身を投じることとなる。苦戦を強いられ転戦する由衣たちが最後にとった驚くべき結末とは!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ALATA
15
「いざ、鎌倉へ!」義経の落胤、八郎丸は強大な奥州征伐軍へ向け、死地の雪原に駆けていった。駿馬のような少女由衣が弓を射、縦横無尽に戦うも、次第に劣勢にとなり敗走することに・・・。戦い前の口上、弓合戦、徒武者の薙刀戦などの戦国時代ならではの熱い打合いに心打たれる。★4 ※「私の命は奥州の大地に無念の戦で敗れた者への捧げ物だ。」ここにも義経北行伝説が生きている。 2021/04/08
しーふぉ
15
義経の息子存在感なさすぎ。 頼朝の奥州攻めとその後の出羽の反乱を知ることが出来る。2015/09/15
TheWho
14
時は12世紀の鎌倉初期、奥州奥六群の北に在り、未だ蝦夷の地である糠部郡三戸(青森の最南端)に生まれた少女を主人公に従弟が源義経の落胤であった事から、源平合戦後の奥州の戦乱に巻き込まれる奥州合戦絵巻。物語は、主人公らが平泉の旅で、衣川の戦いに遭遇し、従弟が義経の遺児の為に一族が殲滅される所から始まり、鎌倉政権との奥州合戦での奥州藤原氏の滅亡から、その後の大河兼任の乱迄の奥州争乱期を語っている。フクション性は高いが、鎌倉期の奥州争乱を奥州人の視点で見事に描き切った秀作です。2022/12/27
HoneyBear
8
最高に面白い。また読みたい。
HoneyBear
6
再読だが、やはり最高に面白かった。実在の人物と想像上の人物とが巧くブレンドされていて歴史フィクションの醍醐味を感じる。奥州藤原氏の由来とか大河兼任の乱のことなど、気になってWikipediaなどを参照しながら読んだ。俘囚と蔑まれた人々のことも。地図で見ると、今の東北地方全域が舞台となっていることがわかる。史料から大きく外れることなく(史料が乏しいから可能なのだろうが)義経落胤の伝説を活き活きと甦らせる。滅びの話しながら何か清々しい。2015/01/02