内容説明
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
1216
辻村深月の本を読むのは初めてだが、若者の心理描写がうまい、と思った。主人公は理帆子という高校生。「本当に大切なものがなくなるとはどういうことなのか」 別所という人物を通して、見事に心理描写をしてくれている。また元彼の若尾の異常さも緊迫感ありの書き込みをしている。2010/12/19
青乃108号
1183
性差別と言われるかもしれないが、男の、オッサンの俺が読んで大丈夫な本なのか心配だった。全く問題なかった。魂を揺さぶられた。心に刺さった。妻子を置いていなくなる父親に、自分自身が重なった。【嫌だったら逃げてもいいんだよ】頑張った。やれるだけの事はやった。それでもどうしてもムリだったから、身も心もボロボロだったから、死ぬしかないと思い、俺は逃げた。運良く人に助けられ、死ななかった。だから今、こうして2番目の人生を生きる事が出来ている。今度こそは、もう、逃げないよ。2番目の家族を守って、これからも生きていくよ。2022/04/11
ヴェネツィア
978
最初はどうも小説世界に入り込み難かった。半ば過ぎくらいまでは、辻村深月作品にしては地味な上に展開のスピードも遅いし、裏表紙の惹句も疑わしく思いつつ、ともかく読み進めることに。ところが、郁也が登場するあたりからは次第に速度が上がり始め、彼が理帆子に巾着袋を差し出すに及んで、物語は一気に佳境に入っていった。終盤の展開は半ばは予想通りとはいえ、それでもそれを超える構想が用意されていた。リアリティの質が通常のそれとは違うのだが、小説としてのリアリティは強く確保されている。結局、終わってみると、これは理帆子の⇒2026/05/08
にいにい
905
仲のよかった父と生き別れ、母はなかなか本心では接しない。そんな環境で育った理帆子が、あれほど人物を観察出来るのに、人との関わりで自分を持て余し、逃げる。距離を置く。この屈折、誰にも少しはこうした気持ちあるだろうけど、読んでいて痛い。その傲慢さによって起こる事件。けれど、たくさんの暖かく強い光を見つけた理帆子に救われる!思っている以上に周りは自分のことを。終盤は結構ジーン。辻村さんの人物描写素敵だ。鋭い感性で、つながりの温かさ、大事さを考えさせる、ドラえもん愛な“Sukoshi Fushigi”物語。2015/08/05
再び読書
864
SFを「少し・不思議」と読み解く冒頭から始まり、ドラエモンの「道具」をモチーフに物語は展開していく。かなり足早に読み進めたため、肝心の別所と芦沢光の関係に気が付きませんでした。しかし、若尾の壊れブリはイラつき反吐がでます。こんな我儘、自分勝手な人間の暴力が人を傷つけるのは許せない。「ツナグ」で辻村氏の作品に興味を持ちましたが、それ以来の挑戦でした。やはり、心を揺さぶるこれから追い続けたい作家と思いました。さらに積読の別の作品にすすんでいきます。本当はこの作品も再読すべきと思いますが、いつになるやら2015/03/22




