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内容説明
「三太郎」に仮託した著者・阿部次郎の、精神の苦悩と思索を跡づける内省の記録。その魂の遍歴は、大正・昭和の教養主義思想に多大な影響を与えた。「青春の書」として読みつがれた記念碑的名著の新版。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
80
大正・昭和初期時代の学生の必読書であった、ということで学生時代に背伸びしてチャレンジしましたがよくわからなかったというのが実感です。いま馬齢を重ねて、合本となっているのを読んでみると難しいながら言葉の感じが染み渡るようでした。「三太郎」という人物に託して自分の内面の在り方、考え方、反省点を表したものと言えるのでしょう。難しく考えることなくさらっと読んでみた方がいい感じです。2022/09/18
AZUMAX
8
以前読んだ『日本型「教養」の運命』(筒井清忠)の中でも紹介されていた、大正期の教養主義のバイブルが本書である。現在の大学生で読んだことがある人はどれくらいいるのだろうか。純粋に気になるところである。一部、二部、三部と徐々に変容・成熟していく著者の内面の省察が主な内容である。本書を読む前と読んだ後で自分の内面はどれだけ変わっただろうか。「三太郎」は日々自己の内面を見つめ、己の弱さを自覚し、苦しみながら人格を磨いていこうと欲した。これを読み終えたのを契機に、読書ノート兼思索ノートを作った。(続く)2012/07/05
てれまこし
6
西田幾多郎『善の研究』とならんで大正教養主義を代表する著作。戦後まで根強い青年層から支持があったが、今日ではほとんど読まれない。著者の精神遍歴の告白で、私小説的要素もある。ヘーゲルとちがって弁証法的発展が個人の内面でのみ展開されるから、西田同様、自分自身の奥底に潜んでいる真理の泉を探すというイメージで教養が捉えられている。世渡りにも有用な雑学という今日の教養とはちとちがう。「広さ」ではなく「深さ」なんである。そしてその内面の深いところから、直接全体につながってしまおうとする。社会はその影として迂回される。2019/06/14
ソングライン
5
神、もしくは真理に至る道を、道徳的に禁欲的に歩こうとする若者の内面を語る書です。その道を進む手段として、他者に対する奉仕を理想とする著者の考えには、これから理不尽な戦争へと向かう日本の暗い影は微塵も見えません。2017/06/30
ぽん教授(非実在系)
4
大正・昭和時代の旧制高校・大学生の愛読書にして人格主義・教養主義のお手本である。個人の人格を磨き、一人の人間として自立しようとすればするほど自分の存在自体を懐疑せざるを得なくなってより深く悩んでしまう当時の若者の典型的思考パターンを著者がまさに実演してくれている、というものである。歴史や真理が確実で絶対であると思われていたようなドイツ哲学が盤石の時代故の古き良き時代である。20世紀の破壊と暴虐のあと、格段に進歩した技術以外何もかもがなくなった現代からは遠い。2015/10/28
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