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内容説明
平安時代に天皇の護持から国家鎮護へと、密教儀礼を国家規模に推し進めた空海。国の中枢に注入したこれらの密教コードによって、宮中祭祀と国家統治のシステムをつくりあげた空海の、壮大な企てを探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moonanddai
9
国王(天皇)の健康管理を、加持祈祷により「もののけ」を鎮めるという密教儀礼により行うことによって、ひいては「国家の安泰」を祈願するという空海の考えが見えてきます。それにしても、この「密教」というもの、当時としては相当目新しい、「目くるめく」ようなムーヴメントだったのでしょう。2021/05/11
Splash
3
本書を読むと、空海は壮大な野心家だったことがわかる。筆者は我が国における密教の始祖となり、宗教界の頂点に立っただけではあきたらず、天皇という権力装置の中に加持祈祷という仏教の儀式を組み込み、天皇の生命を守る形で世俗権力も得ようとしたと見立てている。恵果から外国人の空海に密教の伝授を受けたり、嵯峨天皇の信頼を得たり、すぐれた才能と魅力もあったのだろう。その良い面だけが、弘法大師として現在に引き継がれているように思う。2016/05/19
どくばり・あり
0
〈空海のやった仕事の面白さは、「密教コード」の導入によって「神道コード」の存在を意識化させ、宮廷祭祀の二元体制という基本的な国のかたちを生みだしたという点にある。〉すなわち現在の日本のかたちは1300年前に空海がしつらえたのだ! という刺激的な内容。それがどれほど凄いことで、また、奇跡的な達成だったのかをわれわれ素人衆にわからせるため、山折先生は「山道を散策しながら語る」方式を用いられた。途中の展望台で見る今上天皇と美智子妃の姿は、前半でみた道鏡&孝謙上皇のカップルの姿と対比されて、きわめて印象的だ。 2011/11/08
はにゃん
0
☆難しいかったよ~。テーマは面白かったので、興味津々な内容なんだけど言葉が難しすぎて・・・。これをわかりやすくした本はないものか。2010/04/19
てくた
0
読んでいるうちに、以前読みかけて拒否感が出できたため、完読できなかった本だと判明。今回は違和感はあるものの、頑張って読み終えることができた。 学術的というよりも、煽るような週刊誌的な文体で、読みやすいといえば読みやすいのかも。 内容が現代の天皇制や、空海に関係ない話にあちこち飛んでいるのは、読みづらか思いました。 道鏡についての坂口安吾の小説のあらすじとか…全く個人的に興味ない上に、空海にほぼ関係ないと思われる部分は何故書いた?と感じる。 この著者の空海像は、あんまり参考ならならないと思います。2024/01/10