内容説明
フリーター、自分探し、パラサイトシングル、「シスコン」――。「雨ニモマケズ」や「銀河鉄道の夜」、あるいは絵本や教科書で出会った童話や詩を通じて、日本人にもっとも親しまれてきた作家の一人、宮沢賢治。その人生には、現代のこんなキーワードがあてはまる。この「愛すべきデクノボー」の謎多き人物像と作品世界を、若手女性研究者が、数々の意外なエピソードと特異な感覚のちからに注目しながら読み解いていく。
目次
1章 神童誕生―幼少時代(明治二十九~四十一年)
2章 思春期の葛藤―盛岡中学校時代(明治四十二~大正三年)
3章 光と影の青春―盛岡高等農林学校時代(大正四~九年)
4章 奇跡の七ヶ月―家出、上京時代(大正十年)
5章 変人か、天才か―花巻農学校教師時代(大正十一~十四年)
6章 理想と現実に揺れて―羅須地人協会時代(大正十五~昭和三年)
7章 死への助走―東北砕石工場技師時代(昭和四~八年)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にいたけ
45
一時間で読める宮澤賢治の紹介本。新書で入門とある通り時系列で何があったかわかるのはありがたい。賢治はええとこの坊ちゃんでお金にも困らなかったようだ。そういう彼が百姓になろうとしても難しいことはわかる。ええとこの坊ちゃんが世の中を変えるんだって親の資金で世直ししても人から称賛を得られるのだろうか?そういうええとこぶりを童話や詩歌では感じさせない独特の表現法があるのか?新たな謎が増えた。2021/06/22
活字の旅遊人
36
宮沢賢治って確かに特別扱いされているような気がする。そして後世のイメージが美しすぎる。その辺りからやや皮肉っぽく書いてあり、熱烈なファンには堪えられないかもしれない。弟の清六さんが、兄の死後にかなり売り込んだらしい。それでも文学的な価値というか、輝きは失われない。各種感覚の鋭さ、そして共感覚。こういう方は、むしろ美術系に進む気がするが、それを文字化するパワーが凄いんだろうな。農学者、教師としての宮沢賢治はなかなかのものだったようだ。そして忘れてはならない、エスペランチスト!この先もいろいろ読んでみたい。2021/05/29
zel
10
宮澤賢治本。五感・六感の持ち主。めっちゃストイック。お金持ちで、父との確執があって。妹が大好きで。作品の幻想的な世界観とはまた別の姿が知れて面白かった。弟の清六さんが売り出していたのは知らなかった。宮澤賢治のこと、いろいろ読んでみたい。2022/07/12
真琴
5
「ひとというものは、ひとのために、何かしてあげるために生まれてきたのス」(P23)という母の言葉が、賢治の世界感の根底にあるのか・・・。2020/06/18
クサバナリスト
3
今月のNHK『100分分de名著』の講師とその著書。同番組の宮沢賢治特集の予習。2017/03/05