内容説明
山間の町のブドウ畑から突然噴き出た温泉。即席の野天風呂に連日数百人の人がやってくる一方で、温泉ホテル建設の話まで持ち上がり、町はちょっとした温泉ブームに沸いていた。そんな折、寺の境内で男女の変死体が発見される。一見したところ心中事件だが、温泉が湧いた土地を所有する美貌の未亡人が、冴えない妻子持ちの中年男と心中するとは思えない。東京からこの町に移住していた郷原部長は、まったく頼りにならない上司や部下たちと捜査を進めるが・・・・・・。ひとり奮闘する郷原部長は真相にたどり着けるのか? 著者の初期を代表する長編推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LIAN
12
ついつい読み切ってしまった。ラストに思わぬところから真相に至る鮮やかな手腕は、読んでいて気持ちいい。部長が捜査で迷走する様子、しみったれた理由で殺人を犯す人間がリアルだ。2010/10/02
harukawani
8
郷原部長シリーズ最終作にして最高傑作。すばらしい!温泉が湧いて沸く田舎町に起こった心中事件。どう考えても心中するはずのない2人の死に疑問を抱いた部長は頼りない署員たちと捜査にあたるが……東京から田舎町にやってきても部下や上司に恵まれない部長。そんな彼も頭脳明晰とは程遠く、犯人どころか動機も被害者の繋がりも分からないまま、混迷を深めていくのみ…そんな中一つの発見がミッシングリンクを繋げる展開には興奮。シリーズものとしての意外な展開、意外な犯人、意外な動機、ユーモアと社会性と叙情性、全てが上質。最高だ。2017/02/12
まほろば
1
シリーズ第2弾を読まず、1から3に飛んで読んでしまった。田舎に異動になっておりちょっとびっくり。だが、相変わらずの郷原部長で面白かった。第1弾よりこちらの方が良かった。第一弾より大活躍でなかなかのやり手。野天風呂の光景が笑えた。2018/06/12
菅留
1
シリーズ第3弾だったことに読み終わって気付く。しかも解説にて完結編であることを知る。もったいないことしたかも。これ単体でも十分に楽しめるとても面白い作品でした。けっこう意外な結末でもあり、最後まで心はやりながら読了。昔の作品なだけあって昭和の香りただよう雰囲気です。2013/01/07
aiyoshi
1
書評→http://d.hatena.ne.jp/sangencyaya/20090114/12319421342009/01/13