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内容説明
一九三〇年代、ほとんど一人で社会主義・ケインズ主義と対決したハイエクは、サッチャー、レーガン政権が成功したことで、経済学だけではなく、世界のあり方をも変えた。
本書では、市場経済を全面的に信頼したハイエクの思想の今日的意義を明らかにする。
彼の思想は、現在の脳科学、法体系、知的財産権、インターネットを理解する鍵を、私たちに与えてくれるのだ。
現実がハイエクに追いつくには二〇世紀末までかかったが、彼の思想は、新しい社会秩序のあり方を考える羅針盤として、いま不動の位置を占める。
目次
第1章 帝国末期のウィーン
第2章 ハイエク対ケインズ
第3章 社会主義との闘い
第4章 自律分散の思想
第5章 合理主義への反逆
第6章 自由主義の経済政策
第7章 自生的秩序の進化
第8章 自由な社会のルール
第9章 二一世紀のハイエク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
138
池田氏のハイエク観が解って面白い。ハイエクとはどういう人か初めて意識して考えるようになったきっかけ本。ハイエクの経済観はむしろ哲学ともいえる。自由な経済が管理された経済とどう違うか、ステレオタイプの誤りを見つめ直せた。 --- 本書には批判もある。他のハイエク信望者のサイトで「ハイエクは信者からも誤解されている。インターネットの到来を予言した…などとと言い出す人まで現れた」という批判をみたことがある。おそらく本書を指したもの。
シュラフ
16
漠然ながらの感想としては・・・。マルクスの『資本論』には、世の中の経済社会についての社会科学の書という側面、そして資本主義はその仕組みゆえに自然崩壊してしまうとゆえの革命の書という側面、という2つの側面がある。ハイエクの批判はその後者を利用して社会主義の正義を正当化しようとした勢力に対してのもの。前者のマルクスの社会科学の側面の補完するのがハイエクという読み方はできないだろうか?(この著の主張ではなく私の勝手な思い込みです)なぜなら『資本論』には競合について詳細な分析をしているわけではないのだから・・・。2015/06/17
masawo
13
前半はハイエクの思想を同時代の経済学者など比較・関連づけて分かりやすく紹介しているが、後半になるにつれて徐々にハイエクよりも著者自身の意見の比率が高くなってくる。一刀両断的な表現が多々あり、あちこちで敵が多そうな人だなと感じた。2022/04/11
うえ
13
「ハイエクが合理主義に反対する背景にあるのは、「計画主義」が危険であるという確信と、その基礎になっている人間の「無知」から出発して社会を考える懐疑主義だ。自由の価値も、こうした懐疑から導かれる。もし全知全能の計画当局が合理的に予想し、世界を正しく導くことができれば、自由は必要ない。この仮定は荒唐無稽にみえるかもしれないが、現代の新しい古典派マクロ経済学の基礎となっているモデルでは、明示的にそう仮定するのである。」2020/04/09
Tomohiro_Y
13
ハイエクをベースに経済史の話をしている感じでしょうか。必要なのは、人々に間違える自由とそれを修正する自由を与えることによって、少しでもましな状態に保つことだけ。小さな政府と大きな社会、今の日本が失ったものかなぁと思いました。2018/06/30