内容説明
「本書は考えようでは、妻とともに手さぐりで生き抜いた私の生活記録である」。失明した著者が本書の冒頭でこう書いていたように「邪馬台国はどこか」を探るため、妻・和子に古文書を読んでもらい、筆記してもらい、ともに研究に現地調査に赴いた。二人三脚の結晶が本書なのだ。〈第1回吉川英治文化賞受賞作〉
目次
第1部 白い杖の視点(音表で解釈しなければ解けぬ記紀の謎;米栽培の二つの流れ;日の国と筑紫の国の出現;眼底にうつるふるさとの映像;帆柱の文化;妻が作った私の地図;黄金に魅せられた古代人たち;考古学への失望と期待;邪馬台国を捜すための基本条件;海道の国々)
付録 三国志魏書巻三〇烏丸鮮卑東夷伝倭人の条(通称、魏志倭人伝)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニゴディー
2
9章からはおもしろいが前フリが長すぎるのが少し残念。 9章からのような始まり方をしておき、ところどころで周辺情報を掘り下げていくような構成にすべきだったかなと。 あとは研究部分の内容も重要だろうけど夫婦について、もう少し織り交ぜてた方が読み物としてより楽しめたと思う。 音を重視してるというのは失明した著者ならではという感じがしておもしろい。2020/04/26
つちのこ
1
講談社文庫版。著者を支えた夫人との二人三脚で生涯をかけた邪馬台国の謎に挑む研究プロセスは感動的である。竹中直人主演で映画化もされているのでそれも見たが、夫婦愛を描いたものとしてドラマチックで面白かった。晩年の著者の生き方はユニークで、本格的に国産バナナの栽培を始め、島原鉄道の社長に就任するなど、人間的にも魅力的な人物であった。2017/10/12
Ikuto Nagura
1
本書を読んでいたら『邪馬台国はなかった』の古田武彦氏の訃報が飛び込んできた…嗚呼。その古田氏の説も含め、邪馬台国ブームの嚆矢となったのは松本清張や高木彬光の推理小説かと思っていた。しかし、島原鉄道社長という財界人である著者による1967年初刊の本書が、その火付け役だったそうだ。上巻『白い杖の視点』では、著者が盲目であることにより気付けたことや、戦時中の体験やバナナ栽培・石碑築造などから体感したことが、邪馬台国の謎を解明する土台になったことを記していく。面白いし、説得力もある。下巻ではついに邪馬台国比定へ。2015/10/11
もゆう
1
さだまさしをきっかけに読んだ本。再読でした。2009/02/07
あきいら
1
音からの考察は目新しかった。ただ、半分以上は謎解き意外の内容。2010/04/24