内容説明
死んだらどうなるのか?――この人類最大のミステリーを解き明かすべく、古今東西の多くの哲学者・文学者たちが叡知のかぎりを尽くしてきた。本書では、プラトン、アリストテレス、カント、スヴェーデンボリなど、歴史に残る偉大な思想家たちの「死後」をめぐる思索を解説しながら、「霊界」についての考え方を掘り下げる。たとえば、大哲学者プラトンは霊魂の不滅を信じ、仏教の「極楽」と酷似した霊界の有り様を著作に書き残した。また、視霊者スヴェーデンボリは、実際に霊の世界と交信できると主張し、ヨーロッパ中の話題を集めた。それに対して、カントはスヴェーデンボリの主張に真っ向から異を唱え、現実の世界を生き抜くことを強く主張した。他にも、シェイクスピア、フロイトなどによる多くの議論を取り上げながら、知の巨人たちが「霊界」の真相究明に挑んだ軌跡をユニークな視座から読み解いている。『人間は霊界を知り得るか』を再編集。
目次
1 プラトンと霊界(プラトンの生活と思想 プラトンの霊魂論 プラトンが描く「あの世」の光景)<br/>2 霊魂観の素描―古代中世から近代まで(アリストテレスの霊魂観 キリスト教の「プラトン霊魂論」批判 ダンテ『神曲』にみる死後の世界 ファウスト博士の霊界との交流 シェイクスピア劇の亡霊 ヒュームの来世懐疑論)<br/>3 スヴェーデンボリとカントの対決(スヴェーデンボリの霊界訪問 カントのスヴェーデンボリ批判 霊界小旅行の批判 霊界大旅行の批判 同時代人の賛否両論)<br/>4 カントのコペルニクス的転回とその余波(カントの認識論 ショーペンハウアーの視霊論 フロイトの視霊夢判断)