内容説明
一九八六年十月、ベルリン。親会社の共産圏への不正輸出事件に巻き込まれ、殺人の濡れ衣まで着せられた欧亜交易の神崎は東側へと亡命、消息を絶った。五年後、関係者に謎の手紙が届けられ、全員が雨の小樽へと招き寄せられた……。凄絶な復讐劇が最終章に向けて加速する、迫真のサスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
84
15年ぶりの再読。戦争三部作ほどの冒険小説要素は強くわないし、ボリュームたっぷりの「警察の血」やサスペンスみなぎる道警シリーズと比べると物足りなさを感じるが、彼の持っている端正な叙情が光る佳作。主人公の神崎は、何者かに命を狙われ、殺人の濡れ衣を着せられたまま東ドイツへと亡命。その後の消息が分からぬまま、5年が過ぎ、事件の関係者に謎の手紙が届く。神崎を追う公安警察もその情報を掴む。それぞれが、それぞれの思いを胸に、雨の小樽へと招き寄せられたとき、ついに凄絶な復讐劇の幕が切って落とされた。やはり面白かった。2024/08/01
キムチ
45
出だしの掴みは抜群。神埼のキャラ、容貌、思いがけぬ事件の開幕…崩壊前のベルリンの空気がよく合う。親会社のココム違反の発覚から、上司の狙撃、そして自身。降って湧いたような出来事から時を経て大団円。ちょいと都合よすぎないかい。女の私からすると胸がすくとはいえ、出来過ぎ。天海主演のドラマもどき。小樽に引き寄せられた胸に一物の面々…どいつもこいつも糞みたいな類、後半に湧いて出てきた彼らと西田の娘。丸く纏めた感あり。小山めぐみは飾りもんか…鼻じろむ添えもんでした2024/04/23
stobe1904
37
【ベルリンと小樽が舞台のアクションミステリ】舞台は80年代後半の西ベルリンから始まる。ココム違反で現地対応に奔走していたドイツ駐在員の神崎は上司が殺害された事件の犯人とされ、西ベルリン警察に追われることに…。ミステリと冒険小説をうまく融合した作品だが、陰鬱なベルリンと雨の小樽の情景描写が印象的で、叙情的なストーリーを際立たせている。オチはおおよそ予想がつくが、それでもラストの締め方は秀逸。★★★★☆2024/08/15
kawa
30
ベルリンの壁崩壊前、かの地での日本人商社員のココム(対共産圏輸出統制委員会/懐かしい)違反事件にからむミステリー。前半はベルリン・サイド、後半は小樽サイドというところか。前半、主人公が殺人犯に仕立てあげられる辺りはちょっと雑感ありでウーンなのたが、後半はミステリー度が上昇で気分良く読了。(和歌山市「本屋プラグ」で購入。が、もう一冊、自宅本棚の片隅に購入済みで寝かせられていた≪トホッ≫)2023/08/11
Our Homeisland
24
かなりのボリュームがありましたが、飽きることなく引き込まれて読み終わりました。面白かったです、まれにはずれもありますが、道警シリーズを始めとしてほとんどが面白い作品を書く作家だと思います。張りつめた糸のような緊迫感がありながら情景描写の方も見事でした。ひどい連中が復讐されるという話ではありますが、それほどスカッとした読後感ではありませんでした。2021/09/01
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