内容説明
一九三〇年代の東アジアにおける国際政治情勢に、アメリカはどのように関係していたのか。第一次世界大戦という総力戦を通じて可視化された当時の「グローバリゼーション」への対応をめぐる日本・中国・アメリカの微細な政治状況を、アジア・太平洋秩序形成と絡めながら読み解く国際関係史。
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
目次
序章 戦間期のアジア・太平洋国際秩序という問題――本書の目的と分析視角
第1章 日本の「グローバリゼーション」への対応
1 戦間期と「グローバリゼーション」
2 日本軍部の総力戦認識
3 日本軍部の総力戦体制構築をめぐるディレンマと満洲事変
4 北東アジアにおける総力戦体制構築と国際関係
5 経済的相互依存の二重のディレンマと日本の対外政策
第2章 アメリカの「グローバリゼーション」への対応と経済的相互依存
1 中国をめぐる日米関係――「門戸開放」と「特殊権益」の両立をめざして
2 経済的相互依存をめぐるアメリカの認識
3 アメリカの自由貿易プログラム「互恵通商協定政策」と東アジア
第3章 アメリカの「グローバリゼーション」への対応と「民族自決」
1 中国治外法権撤廃問題をめぐる国務省極東部の東アジア国際秩序観
2 ホーンベックの経済外交構想と二重の封じ込めとしての「ワシントン体制」
第4章 華北分離工作をめぐる東アジア国際関係
1 中国幣制改革をめぐるイギリスのイニシアティヴと第一次華北分離工作
2 第二次華北分離工作とアメリカの対中認識の変容
第5章 中国国民経済の確立とアメリカの政策転換
1 アメリカ国務省極東部の政策転換――一九三七年二月の新政策
2 中国治外法権撤廃と互恵通商協定政策のリンク
3 日中戦争直前期における相対的安定への期待
第6章 日中戦争初期におけるアメリカの日中戦争観の変容
1 日中全面戦争化とアメリカ国務省の「建設的」和平構想――盧溝橋事件前後における政策の連続性
2 南京陥落と「建設的」和平構想の挫折
3 中国の持久力確認とアメリカの対日強硬化
終章 戦間期「グローバリゼーション」への対応の収斂と挫折
1 相互のナイーヴな認識へのいらだち
2 アメリカの国際秩序構想と対中国認識
3 「グローバリゼーション」への対応の失敗と日本の孤立化
あとがき
索引