中公新書<br> アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

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中公新書
アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界

  • 著者名:堂目卓生【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 中央公論新社(2013/12発売)
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  • ISBN:9784121019363

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内容説明

政府による市場の規制を撤廃し、競争を促進することによって経済成長率を高め、豊かで強い国を作るべきだ-「経済学の祖」アダム・スミスの『国富論』は、このようなメッセージをもつと理解されてきた。しかし、スミスは無条件にそう考えたのだろうか。本書はスミスのもうひとつの著作『道徳感情論』に示された人間観と社会観を通して『国富論』を読み直し、社会の秩序と繁栄に関するひとつの思想体系として再構築する。

目次

序章 光と闇の時代
第1章 秩序を導く人間本性
第2章 繁栄を導く人間本性
第3章 国際秩序の可能性
第4章 『国富論』の概略
第5章 繁栄の一般原理(1)-分業
第6章 繁栄の一般原理(2)-資本蓄積
第7章 現実の歴史と重商主義の経済政策
第8章 今なすべきこと
終章 スミスの遺産

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

118
アダム・スミスというと「国富論」がすぐ頭に浮かぶと思いますがもう一つの倫理的な側面を重視した「道徳感情論」についてもこの本はわかりやすくその書かれた社会背景などとともに分析してくれます。なぜこの二つの本が書かれたか、ということについてかなりページを割いています。道徳感情論は和辻哲郎の本に似た印象を与えてくれます。ただやはり国富論のほうがわかりやすさがあります。分業・資本蓄積といった観点から分析しています。2015/10/20

WATA

90
「道徳感情論」と「国富論」という2冊の著書をもとに、アダム・スミスの思想を分かりやすくまとめた良書。特に普段馴染みのない「道徳感情論」の説明が良い。アダム・スミスといえば「見えざる手」であり、市場に任せれば全てうまくいくと考える自由至上主義の人と思われがちだが、この本を読むとその認識が間違っていることが分かる。スミスは実際には「義務」「正義」といった道徳的感情を重視し、過剰に富を求めると人も社会も不幸になると考えていた。現代資本主義の問題点を、その原点となる思想から見つめ直したい人に最良の1冊。2014/06/26

獺祭魚の食客@鯨鯢

62
 経済学の父アダム・スミスは倫理学者でもあります。「国富論」より20年も前に本書を書いています。   人間には常に公平に判断できる「賢人」と周りを気にしながら行動する「弱い人」とがいます。弱い人は感情に流されやすい存在でもあり、その行動指針として相手への「共感力」や「道徳(モラル)意識」が必要です。  日本人は周りを見ながら動き出し他者への同情意識が高い国民であると言えるので、指導者には道徳的意識向上に向けたリーダーシップが必要であると思います。2020/04/27

harass

57
近代経済学の父と言われるアダム・スミスの残した著書は2つのみで、自由主義経済の理論を打ち立てた『国富論』が有名であるがもう一つの道徳論?がある。この二冊の内容を紹介解説する新書。まだ専門的な学問ではない時代の内容でエッセイのように易しく緩い。著者の主張として、自由主義者の理屈として彼の考えが使われるが、もう一冊の本の内容を踏まえると通説の自由主義とニュアンスが違うという。読んでいて当たり前のことと感じていたが18世紀に書かれているものでその分析の確かさはいまだに通用するものだと感心。良い新書。2016/12/15

kk

48
「見えざる手」でお馴染みのアダム・スミス。その彼の二大著作『道徳感情論』と『国富論』に沿って彼の思想をとても分かりやすく親切に解説してくれるナイスな一冊。社会の複雑な利害を政府が人為的に調整することは不可能であり、却って、特定利益との関係で全体の利益を損ねることになりがち。国民経済・福利の発展は市場の自由に委ねられるべき。他方で、個々人の経済的野心は助長されるべきだが、市場での競争はあくまでも人間的同感や正義感を基礎とする公正なものであるべき。何でもありの自由放任ってわけじゃないんね。クールです。2020/06/26

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