内容説明
一日で二万句を詠み、十年で三十の人気作を著した元禄の鬼才・井原西鶴。醒めた眼で金銭を語り、男と女の交情をあますところなく描く。芸能記者にして自らも芸人、そしてエンタメ作家として人気を博した。評伝的史料は極めて少なく、実在さえ疑われることもあるけれど、芥川や太宰をはじめ数多くの作家と読者を今も魅了しつづける。仕事と人生を「鬼のような心」で全うした謎多きマルチタレントの実像に迫る。
目次
第1章 金銭を知る―経済小説家の眼
第2章 性愛を描く―ポルノ小説家の表現
第3章 芸道を究める―タレント作家の演技
第4章 奇想を生かす―エンタメ作家の技巧
第5章 人生を探る―西鶴の謎
文学に描かれた虚像と実像―あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
32
亡夫の本棚から。まず驚いたのは「当時は俳句の方が小説よりも芸術として上位」という価値観。だからか、小説家として作品の影に隠れるようにし、逆に俳人西鶴は署名しまくっている。でも現代では、西鶴の名は小説家として教科書に載っているけれども、恥ずかしながら西鶴の俳句は、1句も思い浮かばない私💦本書にある俳句を読んでも、事実をそのまんま詠んでるだけやんと心惹かれない(←素人の僭越な感想💦)。また当時の貨幣価値にも驚いた。例えば京都島原の太夫の揚げ代53匁(約10万6千円)に比して夜鷹は10文(約300円)。2026/02/08
ほよじー
9
★★★芸能記者にして自らもタレント、そしてエンタメ作家。しかし、謎の多い井原西鶴の人間像。こんな文章も書いている。〈人の命は長いようで、翌朝にはどうなるか知れたものではない。その日の夕方には露と消えてしまうことだってある。だから、「天地は万物の旅の宿、月日は永遠の旅人、人生は夢まぼろし」と昔の詩人も言っている。人生などアッと言う間の煙。死んでしまえば金銀に瓦や石ほどの価値もない。あの世では何の役にも立たない。〉2015/06/29
ドリチン
6
(図書館本)西鶴に興味があったので読む。結局1日で一気読み。西鶴すごし。太宰治も「西鶴は世界で一番偉い作家である。」と書いただけある。作品を直接読んだわけではないが、世間や時代、風俗、人間の本質への細部に至るまでの洞察力がハンパない。西鶴自身のことは謎が多く、その人物像はミステリアス。個人的に大阪の生まれなのがとても親近感が湧いて嬉しかった。いやはや凄い人がいたもんだ。2016/04/21
ムク
1
元禄文化を語る上で外せない西鶴。教科書には載っていないその人生と仕事の詳細がよくわかる。★★★☆☆2013/10/30
ほたぴょん
0
ちょっと持ち上げすぎのようなところもあるが、ちょっと事跡が多方面にわたりすぎていてつかみどころがない西鶴という作家を、まずとっつかまえるには良い本だと思う。ちょっとかじったこともあるけど、原文はやっぱり読みづらくて挫折したので、こうした道案内は貴重。2017/12/12




