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内容説明
恩師の頼みで高校の教壇に立つことになった著者は、貧困のなか崩壊家庭に暮らす無気力な子供たちに衝撃を受けるが……。子を持つ親、教育関係者必読のノンフィクション。
目次
第1章 体当たり(最初の授業 ジョージ・フォアマンの言葉 浦島太郎 相撲 集中力はもって50分 殴れたらどんなに楽か…… 振り出し しゃぼんだまと丙牛)
第2章 壁(白人の校長 トラビス 中間テスト 実の両親と共に生活している生徒は19名中1名 どうしても伝えたい内容 ヘスース)
第3章 チャレンジ(時間がない ジャップ ある強盗殺人事件 授業は“生き物” アメリカの教育格差 銃 えひめ丸 国家 マービン・ハグラーの台詞 さらば教壇 8カ月後の再会―半数の生徒が退学)
第4章 ユース・メンターリング(教壇に立った経験を活かしたい BIG BROT HER&BIG SISTER 20種類の誉め方 ヒスパニックの少年 苛めや暴力を防ぐ効果)
第5章 突然の別れ(転校 トレイナー・ミドルスクール 英語が母語の生徒は24名中4名)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
498
タイトルに「アメリカ」とあるので、これがアメリカの全体像だと誤解されないといいな、というのが読み始めの印象。教育免許のない日本人の著者が、ひょんなことから1学期だけ文字通り教育レベルの低い高校にて「日本文化」の教壇に立った、というのが現実。予想と違った内容なのは分かったので途中放棄しようとも思ったが、著者の生徒たちを思う気持ちとなんとかしてやりたいという熱意(文章もなかなか読ませる)に押されて完読した。彼の教え子だった19人の生徒たちのその後が気になるところだ。2021/10/09
ヴェネツィア
389
タイトルからは、アメリカの様々な教育現場をめぐるルポルタージュかと思っていたが、実際はアメリカの教育の一端が著者の体験的教育経験から語られるものであった。ネヴァダ州リノにあるチャーター・ハイスクールでの臨時講師としての1年弱の日々が綴られる。チャーター・スクールというのはそのままでは日本にはないようだが、主として低学力から普通の高校には通えない生徒たちのための学校のようだ。もちろん、彼らが低学力に甘んじている理由はそれぞれにあり、それはそのまま現在のアメリカが抱える社会問題を如実に反映した結果である。2020/09/12
James Hayashi
32
フリーライターである著者が、米国でメジャーリーガーを取材していたが、待遇の悪さに進路を考えていた矢先に教育者から声をかけられ、チャータースクールの日本文化の講師を短期体験されたもの。米国教育の全般やデータを見るなら「超格差社会アメリカの真実」の方が的を得ているかもしれない。此方は著者の実録的なものであり、一面的である。自分としては全米的なものやデータを期待していたので少し残念。2018/09/12
たまきら
30
アメリカでも珍しい学力が非常に高い公立高校に通っていた自分。SATの試験のためにDCの高校に行こうとして、そのエリアの治安の悪さに本当にびっくりした思い出があります。学校の門に金属探知機があるって…。ボルティモアにいたころは小学校に託児所がある(生徒用の)と聞き呆然としたり。教育の格差には本当に胸が痛みます。でも、誰かと出会うことで変われるきっかけを持てるのはみな共通。出会いの大切さをかみしめました。悲しい現実が描かれていますが、まっすぐですがすがしい一冊です。2020/09/07
kawa
29
ネバダ州リノ在住の日本人ライター氏。たまさか縁のあったメキシコ系の低学力の子どもたちが多く集まる高校(チャーター・ハイスクール)での体験的ノンフィクション。子供たちに対する著者の純な思いが眩しくて一気読み。良い本に出合え他の著作も読んで見たい。同校の女性校長先生に対して感ずる筆者の被差別感。本論からはずれますが、日本人も含めてカラードに対する白人の差別意識を考える意味でもうちょっと深めてもらいたかった思いも…。2024/05/24