内容説明
秀吉没後、混沌とする天下掌握への道筋。豊臣政権内部で胚胎した諸問題はやがて家康と三成の2大勢力形成へと収斂してゆく。東西に分かれた両軍が衝突する慶長5年9月15日。戦いはどのように展開したのか。関ヶ原に未だ到着しない徳川主力の秀忠軍、小早川秀秋の反忠行動、外様大名の奮戦、島津隊の不思議な戦いなど、天下分け目の合戦を詳述。(講談社学術文庫)
目次
第1章 豊臣政権とその崩壊(秀吉による天下統一 豊臣政権の政治的矛盾 秀吉没す―関ヶ原前夜)<br/>第2章 三成挙兵(会津討伐 三成の挙兵と西軍の展開 小山の評定 家康の戦略―全国各地の戦闘)<br/>第3章 関ヶ原の合戦―慶長五年九月一五日(東軍の展開と家康出陣 徳川秀忠隊の誤算 赤坂と大垣―東西両軍の対峙 関ヶ原の合戦)<br/>第4章 戦後処理―征夷大将軍任官の政治的文脈(戦後処理と論功行賞―豊臣系武将の処遇 徳川幕府の成立 二重公儀体制)<br/>第5章 むすびに―関ヶ原合戦の歴史的意義(徳川か、豊臣か 近世の国制へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイシャ
26
とても面白かった。学術文庫といっても分かりやすい。小説ではないので特定の人物に肩入れすることなく、様々な武将にスポットが当てられている。秀吉の朝鮮出兵に発する吏僚派(三成ら)と武功派(加藤清正ら)の軋轢は関ヶ原合戦に大きく影響を与えた。私は先陣争いをかすめ取られて烈火のごとく怒る福島正則に魅力を感じた。小早川秀秋が北の政所の甥であることを知ると勝敗を決めた裏切りも納得できた。秀忠の遅参もあり豊臣系武将にもたらされた勝利とあって関ヶ原後即徳川の一頭体制ではなかったんだなあ。家康への印象が絶対変わる。2020/05/19
やっさん
5
関ヶ原の合戦後、いかにも家康の天下取りが衆目の一致するところとなったような印象を小学生の頃から持っていたのだが、主戦力たる秀忠軍が上田・真田家に足止めを食っている間に関ヶ原の合戦は始まってしまい、主力は豊臣勢家臣であったこと、そのため戦後加増して有力武将になったこと、合戦後も豊臣秀頼の権勢は持続していたことなど、知らないことがたくさん。家康も秀頼もお互いに舅-娘婿/将軍と将来の関白ということでケアしていた関係がどうして大坂の陣に展開したか。これは不思議だな。2016/01/23
freebird
5
学術書を読む楽しみとして、教科書的な思い込みが、明快な論理構成と資料で持って覆され、まるで自分だけが選ばれて、歴史の現場に立ち会った気分になることがある。本書が将にそれに当たる。関ヶ原の陣構を見て、東軍は何故豊臣子飼武将ばかりなんだ?という誰もが思う素朴な疑問から解き明かした論考は見事に尽きる。合戦に至る深淵とも言える背景として、中央集権を推し進める三成他の奉行勢と国持大名との確執、石高と能吏を機能的に分断した幕藩体制等の要の思想も関ヶ原合戦との関連で論考され、英雄譚に留まらず知的興奮を刺激する一冊。2014/06/10
カツノリ
4
開戦前はほぼ互角といわれた戦いも蓋を開けたら東軍は西軍の4倍に膨れ上がったという事。そりゃ東軍勝つわな。各武将についても寝返り・静観もあったのでそのあたりの下りも面白かった。特に最大勢力徳川軍3万(予想)に対してそれに次ぐ小早川秀秋軍の1.5万(予想)の寝返りが大きかったのでそのあたりの駆け引きも面白かった。2018/12/15
けんけんだ
4
関ヶ原の合戦がただの天下分け目の戦いではなく、発端から東軍勝利までの各武将たちの関わりかたがその後の幕藩体制を形成していく面白さがわかった。2015/05/16
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