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内容説明
「人間を信頼してやっていこう」という孔子の『論語』。これに対し「人を動かしているのは、ただ一つ利益である」と見なした『韓非子』。これまで日本の社会は、『論語』が説く「性善説」の側に立って運営されてきた。『韓非子』が唱える「性悪説」は、馴染みが薄くあまりの厳しさに目をむく人もいるかもしれない。しかし日本社会と世界情勢が激変しているいま、「日本人も韓非子流を取り入れることが必要だ」と、著者は一石を投じる。この対照的なふたつの中国古典から実践的な生き方を学ぶ。ふたりの思想家の名言それぞれ40を厳選。社会を「バランスよく生き抜く」ための、方法と戦略がわかる教科書。
目次
第1章 性善説か性悪説か(性善説は脇が甘くなる 『論語』の人間学 『韓非子』の統治学)
第2章 『論語』の名言(友を持ちたい 「仁」を身につけたい 重厚な人間でありたい ほか)
第3章 『韓非子』の名言(権限を手放すな 組織内部にも戦いがある 小さな忠義立てが仇になる ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ビイーン
22
性善説の「論語」、性悪説の「韓非子」。なるほどと唸らせる言葉もあり自分のような初学者にとって有益な本だった。2017/09/25
ちくわん
18
2008年1月の本。論語40テーマ、韓非子40テーマ。1テーマ見開き2ページ。ものすごく整った形式で、読みやすかった。儒教の論語、対して信賞必罰の韓非子。どちらが優れているということなくバランスが肝心なのだろう。人間とは信用できない生き物、利益によって動く生き物。そういうものであることを受け入れて、考えて、生きていく。予想以上に深かった、かも。2020/09/26
vip2000
9
孔子が理想主義ならば韓非子は現実主義です。対称的な思想でより理解が深まりました。(引用)【原文】微を見て以って萌を知り 端を見て以って末を知る 【訳】 かすかな徴候から物事の動きを察知し、わずかな手がかりから物事の顛末を予見する。【解釈】 現代は時代の潮目が急テンポで変わっている。時代を読む洞察力が必要になる。(引用終了)今年は元号が変わり消費税増税、オリンピック前と目まぐるしく価値観が変わる日本です。日常で起こる些細な事をよく観察し、柔軟性を以って対処してゆきたい所です。2019/11/14
やす
7
まずこのタイトルが秀逸だと思った。論語は、最近気に入って論語と付くタイトルの本は見かけたら買うようにしている。本書の面白さは論語だけではなく、韓非子の性悪説も取り入れることにある。要はバランスなんですよ。たしかに、性悪説の観点から人を導いていけるようになれば、隙のない人間になれる気はする。だが、やはり人は「正しい生き方」をまず追求すべき。それには、論語に代表される古典を読んでバックボーンを持つ必要がある。人に左右されない強さがあれば、人に騙される不安も少なくなるはず。2012/02/25
ごんちゃん
6
性善説と性悪説、どちらも中国で生まれたのに、日本には性善説が根付き、中国は性悪説で動いているのは面白いよね。貧乏だった孔子は人の理想の生き方を説き、一応王子様だった韓非子は上から目線で臣下の使い方を説いている。対比されるころの多い性善説と性悪説だけど、なんか次元が違う気がする。韓非子の方が実務的やね。孔子、ゆるいー、そりゃ出世せんわ。2015/08/18