内容説明
高杉晋作は、幼い頃から文武に秀で、鬼才と呼ばれた。「脱藩」しては主家に戻り、たちまちにゆるされた。これは異例のことである。いかに彼の才能が頼まれていたかがわかる(「若き獅子」より)。ほかに浅野内匠頭、葛飾北斎、明治の逆賊・小栗忠順など、時代を動かした英雄たちの激烈な人生を描く短編集。
感想・レビュー
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Kira
22
電子書籍。日本史に名を残した七人の人物に焦点をあてた短編七篇と、「新選組敗走記」を収録。作者は忠臣蔵に関する著作を多く残しているが、浅野内匠頭にあまりいい印象を持っていなかったように思える「消防士浅野内匠頭の見参」を興味深く読んだ。池波氏の描く葛飾北斎像を読んだのは初めてだったが、とてもよかった。北斎を題材にした小説をもっと残してくれていたらと、残念に思う。池波氏の歴史小説を読んだおかげで日本史に少しずつ関心を持ってきた身としては、本書もまたひとつありがたいものとなった。2024/12/18
ton
6
装丁違い1994年本にて。時代の波、変動に抗う男たちの激動の生涯を語るエッセイ…?七本収録。切り拓く者、抗う者、両者入り乱れ揉まれて時代は進む。変動には痛みが伴う。幕末期のそれは、武士という他に類を見ない存在の消失という衝撃と寂寥感の別格感があるので、無意敬遠しがち。特に新撰組の上げた拳を降ろせない系の何とも言えない痛々しさがつらい。一方で、近年ではそうでもないが、善悪構図が定型文の如く刷り込まれた忠臣蔵の「善」浅野内匠頭美談に物申す!内容なのは良かった。 2024/05/24
金吾庄左ェ門
4
男色で消防マニアで頭に問題があった浅野内匠頭と赤穂浪士討ち入り当日の吉良上野介のエッセイの後に、天才画家でありながら、その生き方は食いたい物や飲みたい物を楽しむ事にあったとする『自由天才の画家葛飾北斎』その人物その生き方は称賛されるべきであるのに、時代の流れはそれを許さなかった『壮烈な孤忠松平容保』落日の新選組が甲陽鎮部隊となるも戦いに敗れ崩壊する姿を描く『新選組敗走期』有能であり日本の将来を憂いていたにもかかわらず、それは徳川幕府第一という前提だったための悲劇『明治元年の逆賊小栗忠順』が面白かったです。
鵺
3
最初は新書調。北斎の話は面白くて好き。後半は司馬遼太郎の短編風の作品。2018/09/09
ゆず
3
こちらの本は短編集で色々な方のお話が載っています小説色は薄く人物伝記の要素を濃く感じました『高杉晋作』三好徹さんを先日読み終えたばかりだったので脳内で比較しながら読んでました。女性として一番興味が湧いたのはやはりおうのさんですね二人の作家先生がおうのの事を書かれていてどちらも似たような人物像をしています。高杉さまに大切にされた人、これだけで妄想は広がります 2013/04/06