内容説明
巨額の財政赤字に年金不安、格差社会……。国内に渦巻く不安と不満で、ODA(政府開発援助)は窮地に。だが、著者は「資源小国、経済大国の日本」こそ、国際協力は「国の生命線」「影の“軍事力”」だと説く。次代の日本のあり方を考える「ODA立国ニッポン」の最適入門書。
目次
私の考える国際協力
国際協力をめぐるさまざまな論議と人々の認識
政府レベルの経済協力
経済協力に関連する組織
経済協力と日本
経済協力と体制
経済協力と困難さ
国際社会と援助の理念
経済協力へのさまざまな批判
経済協力と注目すべきトピックス
自衛隊による国際協力
国際協力の行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たぶ
2
日本のODAが抱える課題を知りたくて読んだ。ODAの背景と2007年時点の現状をまとめてある。評者は特に日本のODAのアンタイド化に興味があったのだが、その点に関して踏み込んだ議論はみられなかった。民間企業との関係では、一般的に考えられているより大きな役割を果たしているのだ、ということしかわからなかった。まさに一般書といった感じで、ODAの基礎的な知識を得るためには最適の一冊だと感じた。2015/08/15
おっしょう
2
★★★☆☆(3.5) 日本の国際援助のあり方について提言した一冊。一言で語るのは難しいが、ODAによる援助は一筋縄ではいかないほど複雑かつ困難である、といことが伝わってきた。本書を読む限りでは、途上国への援助は日本の義務であると思う。2009/05/03
aaaabbbb
1
ODAの話。ODA推進派の立場に著者は立っているが、必要性については情緒に訴えるのでなく、国連の投票などでアフリカ票を取るためにも援助を、と合理的な主張もしていて説得力がある。 マスコミのODA報道は表面的であると批判もしている。2011/06/28
ひで
1
ODAは時代遅れなのか。そもそもODAのこと自体、よくわかっていなかったので勉強のため読む。ODA予算は年々削られ、案件が出ても個々の事業の予算は低く押さえつけられており、民間企業は利益を出しづらい。本書が書かれたのは2007年とリーマンも大震災も起こる前だ。国内世論的にもODAのさらなる縮小は避けられず、ODA推進者である著者の主張は通らなくなる公算が高い。特にゼネコンの大型インフラ海外建設はほとんどODAに頼るできないだろう。2012/09/10
taming_sfc
1
草野厚先生による2007年の著作。大学1年から修士2年まで、大変お世話になった先生の近著。ODAについての著作・論考を多数出版されている先生であるが、本書では、特に環境問題や資源問題に重点化・集中化したODAのあり方が提言されていて、私の研究とも大いに関係するところとなった。ODAのこれ以上の減額を防ぎ、重点化・集中化により効果的な支援を目指し、日本の国益と途上国の持続可能な発展に援助が寄与すべきとの先生の提案には賛意を表する。文章は平易・簡明。ODAや国際協力に興味ある初学者にお薦めの一冊である。2010/08/29