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内容説明
言葉の音と意味の綴じ目が緩んだとき現れる狂気、固定した意味から逃れ生の力をそのまま汲み取ろうとする芸術、本能が壊れたあとに象徴的意味を帯びてイメージ化されるエロティシズム。無意識レベルの欲動エネルギーを覆う言葉の網目をかいくぐって現れる人間的活動のありようとは? ソシュール研究で世界的に有名な著者が言葉の深層風景に迫る。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
36
当時の時事ネタと執筆時期に書かれたエッセイの断片、著者の博識が折り重なって混然一体となっているため、軽いエッセイとしても読み流せないし、ガチな論文としては無根拠で受け止められないところがあり、はっきりいって非常に読み辛いです。エーコ『薔薇の名前』の読解、『ミハイールバフチーンの世界』、パース記号論に言及しているなど著者の射程がソシュールだけでないことは分かります。記号論と精神分析さらにAIと、道具立ては石田英敬と東浩紀の『新記号論』と同じですが、どの様に両者にモチーフの異同があるのかさえ判断つきかねます。2021/04/24
かふ
8
90年に出たソシュールの言語学やラカンの精神分析を踏まえたエッセイ。「イカ天」「ドラクエ」「AI」という80年代を語るキータイムの掴みは境界(例)の崩壊ということだった。ペレストロイカからベルリンの壁の崩壊。「言葉」を持つ人類。言葉のイメージ化によって他者に伝達できる人間。動物の叫びや鳴き声は絶対音感で音の連鎖による関係音感でイメージするものではない(音楽を持つ人間)。鳴き声と音楽の違い。何かをイメージできるかどうか?本能が欠けた人間は言葉を繋ぐことで弱者から強者へ。集団生活で言葉の障害が精神病となる。2016/10/17
レートー・タト
4
再読。丸山圭三郎は『欲望のウロボロス』を刊行した時、言いたいことは何度でも言い続けよう、ウロボロスがヘン・カイ・パン(一にして全)や永劫回帰のシンボルであることは、今後の私の方向を暗示してくれているのかもしれぬ、と後書きで述べていた。もしこの本、及び彼の他の著作を併せて「単調さ」や「重複」が見られたとすれば、それは読んだ方が彼の主張の核にある部分を読み取られているといえる。最初に彼は自分の思想の核について明確に「あるのは絶えざる差異化という生の円環運動だけだ」と述べている。2011/01/17
のむ
2
ここは別の著書に書いたからそっちを読んでくれ、という指示が多く、これは単体で読む本ではないな。卑近な話と現代思想の小難しい話とを高速で反復横跳びしているので、刺激的ではあるが私にはまだよくわからん。恥ずかしながら文字なら読了えたが本は読了えたとは言えない……。そんなかんじ。いつか帰り来て文意まで読了えたいところ。2018/10/24
らむだ
2
言葉、狂気、エロス。 読みやすいが内容はしっかりしていて難しかった。 要再読。2013/04/22