内容説明
私たちは原子力に頼っていて本当によいのか。なぜ放射性物質による汚染は恐ろしいのか。放射能によって癌や突然変異が引き起こされる仕組み、大人より子どもに影響が大きい理由を、生命科学者がわかりやすく解説します。それでも核燃料サイクルへの道を突き進む行政のありかたと、命を受け継ぐ私たちの自覚を問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
70
放射能、ベクレル、シーベルト・・・。原子力発電に賛成の方も反対の方もその根拠を述べる際に使われる用語が私にはこれまでさっぱり理解できませんでした。分からない故に、【二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー】であるとか、【資源の乏しい日本には必要不可欠なエネルギー】であるとか【低レベルの放射能は人体への影響も問題ない】だとかいう理解しやすい言葉だけが耳に入り、“専門家”もそう言っていることだし・・・と、いつしか思考を停止してしまっていました。本書中に引用されている高村光太郎の詩にガツンと一発食らわされ↓続2020/08/30
ののはな
11
教科書かと見紛うほどやわらかい言葉で生命科学者の柳澤佳子さんが説く。難病と闘いながら絞りだされることばはけっして古びることなく耀きを放っている。(88年11月初出)これほど放射能がいのちと相容れないのに現代のように原発依存気味の状況を生きているのは何故だろう。(悪人捜しをしても無意味、必然が重なった末の事なのだろうと感じる。)生物科学の専門家として忸怩たる想いを吐露されている良書。科学者ではない、でも今後の世界を生きる者を育むわたしたちには一体何ができるのか。考えさせられる部分満載。2011/08/16
うえ
8
原著は88年刊行。セシウムや地震、電力会社の問題など予見されていて驚く。今考えると、予め電力会社の有限責任を突いておくべきだったか。対策もまだ改善されていたのではないか。文庫版は07年刊だが、その2年後、CO2をなくそう!火力発電所をなくしてクリーンな原子力発電にしよう!という運動が「連合」によって行われるとは著者も考えなかったのでは。「北陸電力、志賀原発一号機で、停止しているはずの原子炉が臨界状態になるという事故…事故が起きたのは99年6月18日であった。8年もの間事故が起きたことは隠蔽されていた」2016/01/10
やよひ
8
作者は生命科学者で先天性異常の研究に携わっていた方。チェルノブイリの事故をうけて書かれたというこの本は、小学校で習う国語の教科書に載っている文章のように、放射能を浴びることがどんなに危険な事なのか、をわかりやすく教えてくれる。何でも出来ると思いあがった人間が、際限なく膨らむ欲望を満たすために環境を汚染していて、その最たるものが原子力であると。加筆されたあとがきでも、国の原子力計画に疑問を投げかけていた。福島の事故の知らせをどんな思いで見たのだろうか。2015/01/11
D21 レム
7
著者は生命科学者。放射能が原子にあたると電子が飛び出す。電子を失った電離原子が生じると細胞の分子に化学変化が起こる。結果、DNAの情報テープが切れたり間違いが起こったりする。卵子精子のテープの傷は未来永劫に子孫に伝えられ、突然変異の蓄積が進む。これが最もおそろしいこと。細胞分裂のときに普段は折りたたまれているDNAの情報テープが伸びるから、放射線の影響を受けやすい。だから成長期の人や部分は影響を受けやすい。普通の細胞はほどよいところで増える速度が遅くなるが、ガン細胞は胎児なみの分裂を止まらず続ける。被爆す2011/11/24
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