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内容説明
抑圧に抵抗しようとする人間の自己破壊的な傾向に注目しながら、宗教のはたす役割を考察し、理性の力で宗教という神経症を治療すべきだと説く表題2論文と、一神教誕生の経緯を考察する「モーセと一神教(抄)」。現代のヨーロッパ社会のあり方と、キリスト教という宗教の本質についての卓抜した洞察から、晩年のフロイトのもつ苦い味と、人間に対する透徹したまなざしが実感できる論文集。
目次
幻想の未来
文化への不満
人間モーセと一神教(抄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
34
フロイトの論文が3作収められています。文化論・宗教論ということで、精神分析学者の観点からのもので、私は自分なりの結構理解できたつもりです。や打分が非常にわかりやすく訳されていました。この分このシリーズは確かに新訳ですが今の時代のことばで書かれています。2014/11/14
fseigojp
25
実は、モーゼと一神教が読みたかったが大著なので本書の抄録でとりあへず2017/12/23
加納恭史
20
フロイトは後半には思弁的になる。その考察にはこの本がヒントになるか?幻想の未来はどうなるのかな。まあ「文化への不満」は快感原則と現実原則の詳しい解説がある。最初は「大洋性」の感情。権力、成功、富などを追い求め、それを獲得した人を賛嘆する。一般的な判断では、人間そのものの多様性と、人間の精神的な生活の多様性を忘れてしまう危険がある。同時代の人々の尊敬を集める人もいる。ある卓越した人物が友人と称して手紙をくれた。宗教とは幻想に他ならないと言う。この友人とはロマン・ロマンである。ラーマクリシュナに言及している。2023/10/29
km
19
面白かったです。幸福、宗教、文化、科学、などなどそそられるテーマがちりばめられてます。そんなまさかってとこもありますが、フロイトがくそまじめに考えただけあって、なるほどなと思ってしまいますし、エンターテイメントとして面白いです。幸福のパートで、人を三つの類型に分け、それぞれの幸福を明らかにしていますが、これは現代人にもバッチリあてはまります。キリスト教の発祥はイクナートンだっていうやや陰謀的なとこもダンブラウン的で面白かったです。笑骨太な知的エンターテイメント小説です。2016/05/31
ころこ
17
「幻想の未来」における幻想とは、宗教のことです。精神分析では、宗教には幼児の神経症に類似したところがあり、人類の発展には宗教を廃止するべきであるというのが論旨です。他の文化論と異なってかなり鈍い感じの論調で、はじめ大意を掴むのにかなり苦労しました。文字通り読解すれば18世紀的な主張で、大変困惑します。「文化への不満」はこの続きで、人間の歴史は生の欲動と死の欲動の戦いだというのが論旨ですが、いったいこの場合の分析対象とは何なのか終始不明確でした。そもそも精神分析とは、結果に対し、遡行して本人の意図しないとこ2017/12/13