内容説明
正子は友人・魔作子を殺してしまう。異常心理による犯行と判断され吹原医師が分析を進めるが、そこから意外な事実が浮かび上がった……。「異常心理」「嫉妬」「被害妄想」「予知」と4作を収録。犯罪心理を意欲的に描いたオムニバス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
paf ❤︎
30
他の誰にも描けない独自の世界観を紡ぎ残した佐々木丸美、ブッキング版。代表2シリーズとは離れて、吹原さんの精神分析が4編。日常に潜み、気づかぬうちに向けられる悪意。陥れられた後でさえも自覚はなく、不快な違和感のみが残り、悩むことになる。少しの差から生まれた妬みを種とする小さな攻撃。講談社の初版は40年近く前だが、現代の社会も全く同じことが繰り返されている。こんなに意地悪な人なんて私の周りにはいない、と言う人が私の周りにはいるが、気付かぬほどスットコドッコイなフリをしているだけだと思っている( ˘ ᴗ ˘ )2020/12/09
tow
6
電子書籍で購入。2019/06/03
Eiko
2
現在では「モラハラ」という便利な言葉がありますが、この作品が書かれた当時はそんな単語はなかったのですよね。モラハラを受け続けた人が逆襲すると「犯罪者」となってしまう時代、なぜそういう心理状態に陥ったのかを筋道立てて分析することで解決に導くというサイコ短編集。読んでいると、私自身だって、無自覚に他人を追い詰めている可能性だってあるんだよなあ・・・となんとなく不安になってしまいました。2015/08/13
chii
1
四人の娘が犯した犯罪を、精神科医吹原医師が対話と調査から原因を探ろうとするお話。一見加害者も被害者もはっきりしてて、証言者もいるし、簡単な事件なんだけど、被害者が、加害者を精神的に追い詰め、罪を犯すようにしむけている・・・罪を犯したのは加害者だけど、罪に問われるべきなのは、仕向けた被害者側ではないのか?ってお話です。毎日の生活の中で、ほんの些細な事で、誰かを傷つけているかもしれない、う~ん怖いなあ~言葉に行動に気をつけよう~~。2009/12/16