内容説明
小さな調査会社勤務のおれに、ある日、競争相手の会社で開発中の新製品がどんなものかを調べてくれという命令があった。つまり、産業スパイをしろというのだ。会社の研究所にはもぐりこめたものの、たちまち守衛につかまってしまい、その会社の独断で処罰されることになったが、その処罰とは未完成のまま放置されていたテレポーテーション装置を使って、地球外へ追放するというのだ! 産業スパイがバレて、地球外へ〈追放の刑〉になった男の幻惑「地球から来た男」ほか16編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
155
表題作はもう1つの『猿の惑星』ってところか。「もてなし」は作者得意の謎人物系で面白かった。2008/09/20
マーム
145
星新一の作品をまともに読むのはこれが初めてかもしれない。もっとSFっぽいものを想像していたのだが、ちょっと趣が違ったので意外に思いました。 表題作等を読んで、その毒気というかブラックユーモアに、変な喩えかもしれないですが、『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造を想起しました。 ある種社会を風刺したそのアイロニーは小気味よく、古さを感じさせない洗練されたセンスにはさすがとしか言いようがありませんね。2018/11/06
扉のこちら側
113
2016年503冊め。これまで何冊か読んできた星作品の中では、ダークというかブラックというかビターというか、そんな風味漂う一冊。解説では桜庭和樹が「寂しい物語や、灰色の未来の描写が多い」と評している。一番印象に残っているのは「あと五十日」。まったく、たちが悪い面白さだ、けしからん。2016/07/01
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
111
簡潔な文体で鮮やかな場面展開、驚きの結末。時にブラック、時にユーモラス、時にハートウォーミングに人間の欲望や心を描いています。ショートショートの第一人者というより、【星新一】というカテゴリーなんだと思います。夜、眠っている妻が昔の彼女の声で話しかけてきた。妻の身体を媒体に元カノが連絡してきたらしい(『密会』)。表題作はテレポートで地球外に追放されたスバイの話。催眠療法で人生をリセットする男。会社のツボを刺激する任務を命じられたサラリーマン。死神とのゲームに興じる友人……。ワンコインで堪能する17篇の宝箱。2014/09/06
ともかず
95
2016/06/12 20:04星新一を読むのは初めてでしたが、どの短編も読後に不思議な余韻があって気持ちよかったです。世にも奇妙な物語っぽい独特の世界観が見ていて楽しかった!「夜の迷路」「ある種の刺激」が特にお気に入り!やっぱり、短編集だと細かい読破感がコンスタントに得られて、ペロリとページが進んじゃうな。なんとなく“スパイ”と“悪魔”が著者の好みなのかなと思った笑!2016/06/12
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- 和書
- 上杉謙信 角川文庫