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内容説明
電車の中で化粧する女。外見ばかり気にする男。批判的な眼差しを向ける大人に対し若者達は言う。「何が悪いの? 別に人に迷惑かけてないじゃん!」。この殺し文句に対する反論を、現在の道徳教育は持ち得ない。「価値の多様性を認めましょう」といった、美辞麗句を並べたてるばかりだ。そうではなく、子供達には「法律のレベル」「道徳のレベル」を超える第三の規範である、「己の美学」を持つことを教えるべきなのだ。本書はほんとうに身につく道徳教育論を展開し、キレイゴト教育からの脱却を強く訴える。さらに「立ち会い出産からは女性の美学が失われている」「夫婦別姓の5つの肯定意見に反論する」「死刑廃止論には決定的な矛盾が存在する」「夫婦別姓推進者は子供の苦悩を理解しているのか」など、現代の倫理学上の諸問題にも一石を投じる意欲作である。
目次
序章 相手の立場を考えるとはどういうことか
基礎編(キレイゴト教育からの脱却 立ち会い出産は感動的なのか? 「ボランティア」とはそんなによいことなのか? 生誕の美学 死の美学)
応用編(「格差なき社会」は可能なのか? 「教育勅語」は唾棄すべきものなのか? 「夫婦別姓」は価値の多様性の表れなのか? 死刑囚の命は地球よりも重いのか?)
まとめ(これだけは知っておきたい道徳理論 美学としての「自分らしさ」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
「調べてみると驚くべきことに『道徳の学習指導要領』には「平等」という語は一言も記されていない…ではなぜ教師達は平等教育に力を入れるのか」「そもそも平等を強く意識しなければならないのは、自然法思想における「権利」において」「世界人権宣言を見てみると、数ヵ所に平等という語が出てくるが、それらはすべて「何の平等」であるのかが規定されている…権利の平等、尊厳の平等、法の平等」「以上のように平等は常に「何の平等なのか」という観点から論じられねばならない」●日本型民主主義は、何故か経済や平和の平等を無理に組み込んだ2015/06/08
入江・ろばーと
1
5年ぶりくらいに再読。筆者の語り口は痛快。「欲の価値観」から「徳の価値観」(「己の美学」)への転換の必要性。身に沁みます。2015/11/10
ぼっこれあんにゃ
1
×駄作。著者は自由主義的な道徳の教育に異論を唱え、克己的な美学を含む己の美学による道徳教育を進めている。つまり、人に迷惑をかけなければ何をしても良いというのは間違っていると叫んでいるのだ。ごもっとも。それは著者の言う通り。ただし、その著者の説く道徳は若干考察が足りず、主観の押しつけられたように感じる文章となっている。マイケルサンデル教授の後では若干ものたりない。著者には己の美学が多様な価値観の中でどのように社会と折り合いをつけいていくのがもう少し考察を深めてもらいたかった。2010/11/03
ラムダ
0
冒頭から聞く人によっては耳痛い言葉が並ぶが、納得させられる事が多い。 もう少し深くつくともっと良かったかも。2017/07/26
根岸
0
理解できないものを無理やり理解させようとすれば、誰もがどこかで嫌になると思う。個人的な意見だが、「他人に迷惑を掛けてないじゃん」この言葉は道徳を教育しようとし過ぎた結果なのかもしれない。 己の美学。それはいいことだと思う。でも「誰かと同じ」と言うことに安心感を感じる日本人は、風潮に逆らって信念を貫くことは難しいのかもしれない。己の美学を貫くためには、他人からの理解を諦めることは必須事項なのかもしれない。自分も含めてみんなが同じ美学を持てればいいのになぁ。2013/01/11
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