新潮新書<br> 医療の限界

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新潮新書
医療の限界

  • 著者名:小松秀樹【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 特価 ¥462(本体¥420)
  • 新潮社(2011/12発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106102189

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内容説明

日本人は死生観を失った。リスクのない治療はない。患者は消費者ではない――。医療の現場を崩壊させる、際限のない社会の「安心・安全」要求、科学を理解しない刑事司法のレトリック、コストとクオリティを無視した建前ばかりの行政制度など、さまざまな要因を、具体例とともに思想的見地まで掘り下げて論及する。いったい医療は誰のものか? 日本の医療が直面する重大な選択肢を鋭く問う。

目次

第1章 死生観と医療の不確実性
第2章 無謬からの脱却
第3章 医療と司法
第4章 医療の現場で―虎の門病院での取り組み
第5章 医療における教育、評価、人事
第6章 公共財と通常財
第7章 医療崩壊を防げるか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

90
2007年出版。本棚整理目的。2006年「医療崩壊」に次ぐ本書は、2002年に起きた慈恵医科大学青戸病院で起きた前立腺がんの腹腔鏡手術で執刀した医師3名が逮捕された事件を契機に書かれた。同じ泌尿器科の医師の立場で「医療は不確実なもの」であり、患者が不確実性を許容できなければ、そもそも手術など成立し得ないものであると述べている。2008年医療事故調査機構が設立されたが、アメリカで死因の第3位を占める医療事故を、日本では公表していない。医療事故に警察が介入する社会の矛盾も論じていて、今読み返しても良い新書。2022/07/18

佐藤一臣

16
米国の新自由主義が建国以来の地政学的影響にある点を指摘しています。開放系と閉鎖系の社会ではサバイバル手法が違うのですね。新自由主義に侵されている医療の現状にはぴんと来ませんでした。私の母が入院初日に大腸癌の腸閉塞からくる急性腹膜炎で死亡した時は、病院に不信感を抱きました。詳細な説明を求めましたが、予知できなかったでそれ以上の説明はなし。納得いかない私は、ネットを駆使して医療関係者に片端から質問。みんな予知できぬことがありうると回答。ここで私は諦めましたが、医者と患者には大きな壁が存在することを感じますね。2017/02/16

でんか

8
良い本です。「人間は必ず死ぬ」事がまず書いてあります。人間、致死率は100%です。そして、逆に、医療に100%はないです。医師のミスは「犯罪」か?と帯にあります。家族を喪うと、どうしても、遺族のかたは被害者意識を持ってしまいます、それがいかに医学的に正しい行為が行われた後だったとしても。医療の不確実さという点で、埋めがたい溝なんだろうなと思うことです。イーブンな知識を持って主治医と議論できる患者さんはそうそうないと思います。でも、アメリカ式にするなら、そのあたりも要求しないといけないのでしょうか…。2017/11/09

tolucky1962

8
医師の立場からの本。確かに、高度になりすぎた技術に勘違いし、完全を求め過ぎるのは問題。安全安心やミスがないと言い張る官僚、クレーマーやモンスターペアレントなどと関連していそう。あとがきで、歴史を作っていることを認識しながら、思想を正面から捉え、リアリズムであれ、というのは気に入った。2015/10/26

Arowana

7
不条理な医療現場の問題点および解決策のみならずアメリカの新古典派経済学とピューリタリアニズムと日本的な倫理観との比較文化論などもお披露目されており良い勉強になりました。また、大衆の反逆についての言及にも共感いたしました。つねに凡庸性の勝利に終わるということは歴史の教訓ですね。外科手術と武力衝突はある種似たものであり、それはあくまで外交の最終手段であって、その最悪の事態を未然に阻止する為にリソースを充填すべき。という視点から自分の身は自分で守るための自己管理能力を養う教育投資が必要なようですね。2018/10/29

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