文春文庫<br> 海軍乙事件

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文春文庫
海軍乙事件

  • 著者名:吉村昭
  • 価格 ¥580(本体¥528)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
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  • ISBN:9784167169459
  • NDC分類:916

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内容説明

昭和19年3月、パラオ島からフィリピンに向かった2機の大型飛行艇が、荒天のため洋上に墜落した。機内には古賀連合艦隊司令長官と福留参謀長が分乗していた。参謀長以下9名は漂流するも一命をとりとめたが、米匪軍とよばれるフィリピンゲリラの捕虜になる。果たして参謀長の所持する海軍の最重要機密書類は敵方に渡ってしまったのか……。戦史の大きな謎に緻密な取材で挑戦する、極上の記録文学。「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」もあわせて収録。

目次

海軍乙事件
海軍甲事件
八人の戦犯
シンデモラッパヲ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

124
大東亜戦争で起きた「海軍乙事件」。連合艦隊司令部はパラオからフィリピンへ撤退する。しかし悪天候で司令部首脳を乗せた飛行艇二機が行方不明となる。一機はフィリピン近海に墜落。生き延びた連合艦隊参謀長福留繁中将らは抗日ゲリラの捕虜となる。更に不測の事態があれば破棄する筈の機密書類を破棄出来ず、ゲリラに渡る。機密書類を解読した連合国により日本軍は膨大な犠牲を払う。捕虜となることを否定していたが、将官が捕虜となる不祥事。救出された福留は事実隠蔽の為、処罰どころか昇格する。不都合な事実を隠蔽する海軍の腐敗が描かれる。2020/09/26

ケンイチミズバ

123
優秀な人間は一握りで、残念な人間が不幸にも組織の上層部にたくさんいたりすることはままある。戦時中の軍隊という常に最適最良の策を講じなくてはならない時に判断ミスは命取りになる。そして大失態の場合、ミスは無かったことにされ教訓も残さない。誰も猛省しない。事件で失われたのは気の毒な人命だけでなく機密情報もだ。不確かな情報で慌てて参謀たちを退避させたことから生じた事故。海軍トップを大勢乗せた飛行艇は海面に激突し水没。陸軍は事故を伝えらぬまま捜索は海軍だけで。陸海が情報共有せず、体面を重視し連携しないで戦争って。2019/12/16

at-sushi@進め進め魂ごと

72
極秘命令書を携えた海軍将校がフィリピン沖へ不時着、ゲリラに拘束された海軍乙事件。現地でゲリラ掃討戦を指揮する陸軍・大西大隊に救出命令が下る。一触即発の捕虜引き渡しを前に、現地ゲリラが「オツカレサン」と場を和らげる場面が印象的。しかし、本土へ戻った将校たちは、事件を恥とする上層部により自決を促され、やがて口封じのため栄転させられるという無茶苦茶さ。現地人から敬われる大西のような高潔な軍人が居たことが救い。映画化出来そう。「甲事件」では山本長官機撃墜を巡る日米の情報戦が生々しい。2021/02/12

molysk

64
昭和19年、アメリカ軍の反撃で、劣勢が明らかとなりつつあった日本軍。連合艦隊司令長官と参謀長が分乗していた二機の飛行艇は、パラオを発つが、定刻を過ぎてもフィリピンの予定地への到着ならず。参謀長の乗機は、米軍の支援を受けた現地人ゲリラ支配地近くの海域へ不時着した、との一報が。参謀長の消息は、そして携行していた軍機密書類の行方は――。戦後、機密情報の扱いがずさんと揶揄されることになる日本軍は、この事件の機密流出の疑いにおいても楽観的な推測へと至る。日本軍の動向を把握した米軍の攻勢で、連合艦隊は壊滅へと向かう。2021/08/15

shizuka

62
乙にしろ甲にしろ、なんで安心しちゃうかなあ、というのが正直な感想。機密文書いれたケースがいったん外に出てしまったんだから、最悪の自体を考えて全部変更すればいいのに。いろいろ実験してさ、あ、ばれてない!って安堵してよし!って。米軍は一枚も二枚も上手だから、それも見越して攻撃してきてないとか。後で分かって愕然って何それ。体面保つことに必死で着地点をはき違えている。そして起こった不幸。ただそれ。『シンデモラッパヲ』は日清戦争時のこと。勘違いからの大事なんだけれど、最後、長老のヒトコトでキレイにまとまる。いいね。2017/04/25

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