茶の本

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茶の本

  • 著者名:岡倉覚三/村岡博
  • 価格 ¥462(本体¥420)
  • 岩波書店(2012/04発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003311516

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ねこ

150
本書はThe Book of Teaとして英語で1906年に出版され独語、仏語でも訳された後、1929年にやっと日本語で訳された本です。100年以上前に書かれた日本の茶道に関する100ページ以下の薄い本ですが内容は濃く深い。「茶には酒のような傲慢なところがない。コーヒーのような自覚もなければ、またココアのような気取った無邪気もない」と。茶道は道教と禅道に深く結びつき、人生と芸術に関する思想にも大きく影響を及ぼす。また、茶の宗匠は自らが芸術そのものになろうと努め、立ち振る舞い、生き方、死までもそれに準ずる。2023/06/24

molysk

71
明治の終わり、岡倉天心は茶の湯をもって、西洋に日本人の精神を伝えんとした。茶道は、日常生活の俗事の中にある美しきものを崇める一種の儀式であって、その要義は「不完全なもの」を崇拝するにある。相対の中の絶対、空虚の中の実体、不均衡の中の均斉。不完全を崇める精神を、天心は語ろうとする。茶の湯は禅の儀式の発達したものである。精進を重ねることで悟りの境に達する。人生の些事の中に偉大を見出す。茶道の理想は、これらの禅の考えから出たものである。茶道の流儀にとどまらず、茶を通じて日本人の心を世界に広めんとした一冊。2023/08/06

k5

57
日本文化に関するワークショップに呼ばれることになったので、安易な選択ながら予習。思ったよりインサイトなかったですが、至ってまともなことを言っていて、西欧における日本文化の需要という意味で意義のある本だなあ、と自分もインサイトないことを考えました。芸術が強者のものではない、という感覚がとても心地よいです。2022/12/29

藤月はな(灯れ松明の火)

54
日本文化論で「明治期、積極的な海外文化の導入によって日本文化が駆逐されようとしていた時に日本文化や日本精神を再認識するきっかけを生み出した本」と紹介されました。「海外文化こそ、素晴らしく、日本文化は時代遅れだ」という当時の考えに「茶が海外にも浸透している」という指摘をした上でその精神性の素晴らしさを説明し、その精神性は日本でしか受け継がれていないとチクリと言っています。茶室という限られた「世界」が礼儀や決まりという「秩序」を持って構築されることへの指摘は、不遜のようでいて自然に従い、律する精神性が見えます2014/10/10

猫丸にゃん太

44
この本は茶の本であって茶の本ではない。茶を通じて東洋の文化水準の高さを紹介したものだ。その内容は多岐に渡り、茶の歴史、建築、芸術の鑑賞について、花、精神、さらには宗教や哲学にまで及ぶ。短編であるがその内容は深い。さらに言えば、この本は岡倉天心が西洋人に対し英語で書いたものが翻訳されたものだ。当時は帝国主義が蔓延し西洋人は東洋人を未開で侵略されるべきものとみなしていた。それに対する天心の反発と東洋人としての誇りがこの本には感じられる。東洋文化の根底に流れる哲学とその営みを知れる名著である。2014/12/02

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