内容説明
伊豆で一人の少女が入水自殺した。死の直前、少女から救いを求める手紙を受け取った弁護士・中原は伊豆へ向かう。公害問題の陰で、目先の利益に躍る巨大企業と地元漁民、さまざまな思惑が絡み合うなか、政府の調査団長が他殺体で発見され…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
204
西村京太郎さんの第11作。公害問題と悪辣な企業の問題を扱った社会派ミステリーですね。数十年前に読みましたが内容は頭から完全に消えてまして今回も面白く読みました。喘息に苦しむ少女が会社に口外の被害を訴えるが、あっさりと拒絶され弁護士の手紙を書くも諦めて入水自殺する。別件で動いていた主人公の中原弁護士は少女の詩に責任を感じて遺族の為に訴訟に打って出て、ヘドロの海が広がる漁師町へと調査に訪れる。そこには汚染を生む工場を操業する巨大企業と働き口の為に我慢する地元民と公害調査に地道に取り組む高校教師と生徒らがいた。2023/11/30
オーウェン
52
弁護士の中原が受け取った手紙。 それは伊豆の村で建てられた工場によって、ぜんそくになってしまった少女から。 その少女が自殺してしまい、中原は排水が公害であると気付き、工場側を相手に弁護をすることに。 大概こういう案件は利権が絡んでくるが、公害と認定されたら工場側はたまったものではない。 そこで金や出世といったものが。 漁業関係者の行く末が最後に効いてくるあたり、自身に置き換えないと実感が湧かないというのが公害の怖い所なのだろう。2023/11/07
coco夏ko10角
19
公害問題を扱った社会派推理もの。確か何かのサイトでオススメされてて気になって手に。巨大企業による公害問題、それぞれの立場の考え方や動き。こんな町民たちのために…となりそうだったところであのラスト。締め方がいいな。2023/09/25
浅木原
3
沿岸コンビナートの公害問題に対し、政府調査団が企業と結託して公害を存在しないことにしようとするのに主人公たちが抵抗する話。社会派路線の作品だけど、内容的にはむしろ『盗まれた都市』系か。ミステリー要素は死ぬほどどうでもいいし、この手の話としても今読むにはあまりにスカスカ。その中で、公害認定を一番嫌がり善意の第三者である主人公たちを妨害するのが風評被害を怖れる地元の漁民で、人間を動かすのは道徳的正義ではなく経済的エゴイズムであるっていうテーマが導くシニカルな決着が光る。締めがいいと七難許せる気になりますね。2015/08/31
義輝仮面
1
【★★★☆☆】 1971年刊行の本。ちょうど「ゴジラ対ヘドラ」が公開されてたりと当時は問題だった公害を取り上げた作品。 ラストはスッキリするようで結構考えさせられたりした。 2018/01/26
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