内容説明
「意味がない、それがいい」「なんでもないけど、愛おしい」を求めるあまり、めまぐるしく論考の対象と手法を変化させつづけたバルトの軌跡を、著作そのものからあぶり出す、出色の論考。
目次
『エクリチュールのゼロ度』
『神話作用』
『エッフェル塔』
『モードの体系』
『記号の帝国』
『テクストの快楽』
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』
『恋愛のディスクール・断章』
『開講講義』
『明るい部屋 写真についての覚書』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あなた
4
ためらいがちながらも筆者の立場が明確なので非常にさくさく読めた。バルトの概説というのは非常に逆説的なことだと誰しも思うが、それでもわたしたちは愛で散逸したままに、瞬間のエクリチュールとして、バルトを指し示すことができる。ジョナサン・カラー『ロラン・バルト』もおすすめ。読書メーターにはないけど 2010/07/03
しんだもずく
1
「おわりに」に書かれているように著者による一種のアンソロジーといった趣きで、バルトの主要著作を概観できるようになっている。著者自身「バルトの誘い水になるような入門書を」というつもりで書いた本ということで、けっしてわかりやすく解説する類の入門書ではないが、そのぶんバルトの思想をつまみ食いできるちょうど良さが心地よい感じだった2021/11/07