内容説明
京都を舞台に、魔のときに出会ったひとびとを描く耽美小説連作集。死とエロス、因縁と運命……格調高い文体と、摩訶不思議な作品世界で読者を幻想的深淵へと誘う。妖しく灯る愛と性の燐光! ■収録作品 「夜を籠めて」「阿修羅の香り」「静狂記」「緑青忌」「ダンサーの骨」 「牙の扇」 「玉の緒よ」「狐の剃刀」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
全編京都を舞台にした短編集。著者の小説に登場する人物は基本的に何かを追い求める過剰な情念で満ち満ちている。京都もまた千二百年の人の業が凝って、それがそのまま闇になった感がある。その両者が合わさると、登場人物は人というよりむしろ鬼に近いような感じさえ受ける。そんな短編がこの本にはみっしり詰まっている。過剰な京ことばも、冒頭に置屋や宮仕え等という特殊な世界を挟む事によって自然に感じられるし。京都がある意味人工美で成り立っている都市なら、その人工性、作られた美を徹頭徹尾追求したような作品ばかりでした。2023/08/07
八子@ちょっと復活
10
京都を舞台にした短編集。登場人物が京ことばを話すので、最初は誰が何を話しているのか、いつの話なのかなかなか分からず難儀した。しかし読んでいくうちに慣れてくる。たまに、これは昼メロかよ、みたいなものもあったのだが、美しい文章で紡がれる妖しい世界観によって、人間の狂気や愛憎を描いた話に昇華されているなあと思った。2012/12/31
莉玖
7
愛のお話。掲載の短編全て、最初から最後まで " 京ことば "。 だんだん慣れてきますが、やはり最初は読みづらい。2020/11/26
iuba
5
情念渦巻く京都の小径…立派な生け垣や風情のある軒先、どんな人が住んでいるのだろうというような広い庭のある屋敷。街歩きをしているとあちこちで見かける京都の風景の裏側にとぐろをまく、情念の渦。なにげなく通り過ぎる、こぎれいな「京都らしさ」がひた隠しにする秘密を覗いてしまったような気になる。ひとつひとつの作品としてはあまり際だった印象は残らなかったけれど、作品集としてみると粒ぞろいという雰囲気。2012/03/31
晴久
4
短編集。美しい京ことばと、耽美な世界にどっぷりと沈み込んで読みました。赤江瀑は全著作制覇したいです。2018/05/03