内容説明
塩の霧に閉ざされて立ち枯れする森と、凶暴化した異形の動植物に囲まれた地キヌーヌ。化け物に姿を変えられ、図らずも殺人に手を染めた青年・金目(キンメ)は、彼を騎士と呼び慕う不思議な少女・シエラとの出会いによって自我を取り戻す。彼女の周囲からは霧は遠ざけられ、草原は穏やかな風と陽光に満ち溢れるのだった。金目は己を化け物に変えた主人パナードへの復讐を誓うが、理想郷を目指すパナードの執念の前に苦戦を強いられる。そして急速に成長するシエラの身体は、世界の原理そのものと繋がり始める。清新な抒情と稀有の想像力に彩られた、著者の初長編にしてSFファンタジーの傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ランプフィッシュ
17
可愛らしい女の子がゲテモノ喰いだったことと血の中にいる微生物が生物を支配しているというところは斬新だった。ストーリーは別に面白いとは思わなかった。2024/03/19
miroku
15
人と自然と魔物と・・・。真直ぐなファンタジー。菅さんらしい繊細さと優しさに満ちた物語。2013/08/16
あづさ/kyoka
7
SFかと思いきやファンタジー。この作者としては珍しい作風かも。情景の描写が丁寧で絵本を見ているような気持ちで読めます。対して戦闘シーンはちょっと読み難いかも。2021/10/03
にく
5
タイトルもあらすじもまるでファンタジーだけど、SFなんだよねぇ?と半信半疑で読んだら、ファンタジーでしかなかった…。けれど、解説に「抽象的な進化を扱っている」とあって、ああ、「SF小説」だったなぁと腑に落ちた。王道ファンタジーのような、お伽話のような雰囲気が読みやすいか読みにくいか、分かれそう。2018/04/16
いつみ
5
20年以上前のファンタジー。時代からするとこれがベースかと思えるほど、ナウシカやひかわさんのあれこれやらが頭に浮かんだよ。でも初っ端のシエラに傾く金目が唐突過ぎた気も。擦れた今でなく純粋な子供の頃に読みたかったなあ(笑)2015/09/14