内容説明
初期のエッセイから、『胡桃の中の世界』に至るまで、著者はおもにヨーロッパの文学や芸術作品を対象にしながら、人間の精神のかたちを考察してきた。だが、本書においては、その関心は日本の古典にも向けられ、迷宮、幻鳥、大地母神などをテーマに、東西の文学作品に通底する心的パターンをめぐって、自在な論が展開される。その後フィクションへと向う著者の創作活動を暗示するエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
マッキー
16
リラダンの「未来のイヴ」が読みたくなった2017/01/15
Gin&Tonic
14
鏡花の迷宮のイメージ、付喪神とフェティシズム、カフカの完全なる無意味性、時間の円環構造、博物学とポルノグラフィー等々についてのエッセー12篇。ぺダンスティックで複雑な内容だけれども、話の運びがスマートで意外ととっつきやすい。あとがきにもあった通り、正に知的イメージの"万華鏡"。/著者のエッセー→短編小説の過渡的作品であるらしい。本書は澁澤龍彦入門にはうってつけなのかも。オススメ!2014/11/04
歩月るな
13
視線の先に描き出される世界。創造の原動力。描かれている事が全て、書物からのみ得た知識であると言う事が最大の面白味でもある。極めて世界の解明に役立つ箴言が盛りだくさん。日本文学や古典に初めて言及された著作だが、その視点は圧倒的かつ斬新で、鏡花や荷風、潤一郎や中島敦というかぐわしい面々の著作についても触れられている。実にかぐわしい面々である。相変わらず巨女(おっきなおんなのこ)は人気ね。やがてフィクションの創作へ向かう転換期のエッセイ集。『堤中納言物語』の『虫めづる姫君』についての論考が白眉。素晴らし過ぎる。2016/05/01
ぐうぐう
8
作中で澁澤は自身のことをテーマ批評家としては失格だと述べている。「なぜなら、私はかりに自分がテーマ批評なるものをやるにしても、自分の気に入った作家の中に、自分の気に入ったテーマしか見つけ出そうとしないであろう」と。しかし、だからこそ、澁澤の考察は紋章のように魅力的だ。2008/11/28
りっとう ゆき
5
「思考の軌跡がさまざまに変化して、無益な、無責任な、しかも美しい紋章のような形を描き出してくれたら」とあとがきにもあるように、思考や知が縦横無尽に、また回帰したりして、そこに美や怪奇などがちりばめられてる。理論的に述べてはいるけれども、印象に残るのはその思考、知識の強烈な断片なのだった。西洋文学や博物学的な知識はもちろん、日本の古典、文学作品(川端とか)など幅広く取り上げられてて、そのどれも興味深く、読みたくなってしまう。2023/01/22




