角川文庫<br> 教室の正義 闇からの声

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角川文庫
教室の正義 闇からの声

  • 著者名:赤川次郎
  • 価格 ¥506(本体¥460)
  • KADOKAWA(2014/12発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041879894

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内容説明

〈この学級に正義はあるか!〉文部科学省発行の「心のノート」にこう書いてあるのを読んだ中学生の辰夫は、クラスメイトのカンニングを告発した。辰夫の行動は、たまたま取材に来ていた新聞に取り上げられ、辰夫の通う中学は一躍有名になった。しかし――。閉塞感が高まり続ける学校教育、公平な報道をしないマスコミ、そして他国の戦争に加担する政治家たち。現代日本の危機に一石を投じる衝撃の作品集!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chiru

75
社会風刺的短編集。 限られた空間、思想、集団内で効力がエスカレートする『正義』を描く表題作。 自分で考えて悩んで起こす行動が『正義』だと思うし、正しいか不正かでは判断できないことのほうが多いことに気付くことが、大人になるってことなのかな。『終夜運転』はタイムパラドックス。 過去に戻った数分の行為が生み出す少女の死。 少女をリカバーすれば歪む因果律に、逡巡する主人公のだした決断が辛い。 短い作品なのになんともいえない余韻が残りました。 ★4 2018/04/29

S.Mori

23
5つの短編を収録。やや物足りないです。長編の読みやすさは短編では発揮されず、内容の薄さにつながってしまう気がしました。「免罪符」と「終夜運転」が好み。「免罪符」では作家が自分の作品に苦しめられます。復讐を描いた作品を読んで、真似をする人が出てきたのです。リアリティに欠けますが、現代日本の閉塞状況を浮き彫りにしているのはさすが。「終夜運転」では元総理大臣が幽霊電車に乗って不思議な少女に出会う設定が秀抜。読み進めると彼女は大きな悲劇に巻き込まれていたことが分かります。戦争に対する作者の強い怒りを感じました。2020/08/03

KEI

17
読友さんのコメントに惹かれて図書館本。表題作を含む5編の短編集。三毛猫シリーズを3冊読んだだけで赤川作品≒三毛猫≒軽い読み物というイメージが出来て、手に取る事が無かった。本作でその認識が壊された。社会の歪みのゆく末を暗示する様な作品だった。「終夜運転」時空を越えた内容で戦争責任を自問する主人公に救われた。「紙の砦」家庭を守る事に専心する妻が怖い。「教室の正義」教育の現場に正義はあるのか?結末で安堵。「免罪符」事実は小説より奇なり?一番ハラハラした。作者への認識を変える切っ掛けを与えてくれた読友さんに感謝2016/01/28

FK

5
 「心のノート 中学校」に「この学級に正義はあるか!」というのがあるのだろう。「教室の正義」 はここから作者なりのストーリーが展開されている。正義が席捲するところ多くの犠牲者が生まれるということ。あるいはみんなが被害者なのだ。それをそうと気付かせずに浸透させていくのが心のノート?  「大人の時間」 この社会は大人のためにある、子どもたちのためではなく。学校に自由がないと主張した女生徒が痛ましい。現状では、この国から立ち去るか、この国以外の人たちとの付き合いの方へ逃れるしかないのかもしれない。 2013/07/17

kaizen@名古屋de朝活読書会

5
社会派小説5編。 終夜運転:広島の爆弾投下の数日前の話と現代とが錯綜する。 紙の砦:内部告発を封殺する報道の体質。 教室の正義:正義は人のためであって,架空の決まり事のためではないという教訓。 大人の時間:国際社会で認められる人は,日本国内ではいじめにあうという未だになくならない話。 免罪符:「天使の代理人」という架空の話と現実の事件との関係を問う。2011/08/16

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