新潮文庫<br> 蒲団・重右衛門の最後

個数:1
紙書籍版価格
¥506
  • 電子書籍
  • Reader

新潮文庫
蒲団・重右衛門の最後

  • 著者名:田山花袋
  • 価格 ¥407(本体¥370)
  • 新潮社(2003/08発売)
  • ポイント 3pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101079011
  • NDC分類:913.6

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

蒲団に残るあの人の匂いが恋しい――赤裸々な内面を大胆に告白して自然主義文学の先駆をなした「蒲団」に「重右衛門の最後」を併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

173
高校生の時に国語便覧で見つけて以来、読みたかった田山花袋。「布団」と「重右衛門の最後」を収録。「布団」は田山花袋の私小説ですね。中年で妻も子もある作家は、うら若い作家志望の弟子に激しく恋慕する。生活に疲れ今の妻と一緒にならねば、弟子を伴侶に出来たと懊悩する。弟子には若い恋人が出来、結局は父親に連れられて作家の元を去り田舎に帰る。作家は弟子の使っていた部屋で布団の残り香を嗅ぎ泣く。正直、泣くところに引いた。若い弟子に惹かれるのは、分からないでもない。泣かなくてもいい。当時と現在では世情が違うのを肌で感じた。2017/08/14

ykmmr (^_^)

126
日本にも、海外にも『自然派』があるが、彼は普段の普通の『風景』に『アクション』を加えるが、しかし、何だか、それが微妙に「主人公本意」というか…主人公が我が道を進むが、それが最後には崩れるというか、そんな印象を受ける。しかも、オチが甘くて、余計に失態を広げてしまうような…。まあ、『田舎教師』と比べると、こちらはさっぱりとしたコメディかなと。『重右衛門の最後』は片田舎の閉塞感と起こりうることの、比例差が…。重いながらも読みを進めてくれちゃう。作家としても、正直、「微妙な存在感」。作者も描きながら、2023/03/30

ehirano1

121
「自然主義文学」なるものに初めて触れました、多分・・・。『重右衛門の最期』が印象的で、主人公というか語り手が「環境的自然」と「人間の本質的な自然」を交えての考察にはえらく考えさせられました。2023/01/29

夜間飛行

116
とりあえず性欲に取り憑かれてしまった男の話である。女弟子を意識し始めると同時に、自分の性欲が思いもかけぬ大問題になってしまったのだ。性欲と向き合うからには、やはり精神的な次元だけでは解決できず、必ず何か行動を起こさなくてはならなくなる。そこに行くまでさんざん迷い、捌け口を求めて煩悶し、女を恋い焦がれて空想し、結局どこにも出口がないことを知るばかり。後は何のことはない、この男は諦めるのである。それもすっぱりと潔くではない。女弟子がいなくなった後の、彼女の蒲団のにおいを胸一杯吸い込み、泣くのである。2018/06/19

藤月はな(灯れ松明の火)

94
高校の国語便覧で『蒲団』が紹介されていた時、余りの赤裸々すぎるあらすじにドン引きした思い出がある。今、読んでもその心情は変わらなかった。奥さんへの態度といい、明治期の作品は女性蔑視があるものが多くて読むと鬱々とします。一方で「重右衛門の最後」が色んな意味で心に刺さってきます。性格が悪いという理由で疎まれる重右衛門。ところが彼が火付けを命じたという確証はないのだ。それにも関わらず、私刑で殺され、罪人達は罪を免れる。彼の不遇な死を嘆き、悼んでくれたのが同じく、村人たちに爪弾きされる野生児だという事実が胸を突く2018/09/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/564453
  • ご注意事項