内容説明
彼女、彼女、この故人のこの活字の世界での名をいきなり「森娘」と命名する。本名森茉莉をそのまま使わないのは、私の描いているこの故人が、どう考えても本物の森茉莉とはずれた人物だから。鴎外と志けの娘、では決してないから。私が知っている森娘は、……「贅沢貧乏」という1冊の本の中に住まった1体の妖怪だ。私という作家の雑念と思い違いがそこにこごった、活字の怪でしかない。「作家は死んだ時その本の中に転生する」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
16
活字の怪、活字の森の中。森茉莉ではなく森娘。評伝ではない、これは小説。めちゃ面白い、笙野頼子の小説の中でも相当にスリリングで面白い。特にⅥ以降!!初めはただ翻弄されるように、やがて『甘い蜜の部屋』の森娘譚、偉いモイラ、対比と収集と検証で興奮、そしてⅥからが凄い、Ⅵから凄い笙野頼子!笙野頼子大爆発、と言った感。こちらのテンション爆上がり。この辺りから笙野頼子の文章が勝り出す気がする。まさに超えて行く、突き抜けて行く瞬間を目撃したような気がする。引用し、引用し、的確で効果抜群の怒涛のツッコミ的ディテール重ね…2021/05/03
びっぐすとん
11
今年初めての挫折本。初読作家さん。頭痛くなった。森娘は日本人なら知らぬ人はいない明治の文豪(えっ当然判るよね←作者のマネ)を父に持つお嬢様。とはいえ私も名前を知ってるだけで作品を読んだこともなく興味もない。だからこの作品のノリで森娘を語られても全くついていけない。元祖天然キャラだか、やおいの元祖だか知らんが、熱いテンションの文章が酔っぱらいの説明を聞いているようで意味不明である。最初の一冊目にこれを選んだのは失敗だったか。佐藤亜紀さんの解説が佐藤さんの作品並みに難解で、助けにならない。何もかもお手上げ。2019/02/09
安南
9
初、笙野頼子。独特な語り口に魅了されました。おもしろいです。もう、笑いどころ満載。森娘=桃井かおり説とか、檀ふみに至っては、爆笑!(我が人生で一番目撃回数が多い芸能人檀ふみ!)幸田文との文豪娘対決!『痴人の愛』やら『真夜中の天使』やらコテンパン!このノリで近代文芸史なぞ書いてくれたら楽しそう。作者の森茉莉に対する愛情もたっぷり感じられました。2013/04/27
記憶喪失した男
8
天才作家らしいが、やおい本の元祖についての評論なんかを男のおれが読んでどうするというのか?2017/10/10
Mark.jr
3
実在の作家の森茉利を通して、文学、批評、フェミニズムもろもろをぶった斬るという作品。その饒舌で時に攻撃的な文章は、豊崎由美氏なんかを彷彿させますが、内向的なベクトルを感じるのこが、著者の個性というか。2023/09/01
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