内容説明
「あだ名、通称、あるいは身代わりのようにしてつけられた呼び名――それぞれその人の要約にあたるようなもの。いかにしてあだ名がついたか、事情はさまざまだが、世の中にひそんだ悪ガキの智恵にも似ている。それを借用すると、個性ゆたかな肖像が浮かび出るのではなかろうか?」誰でも知っている有名人、あるいはあまり世に知られない人物――本書は、ただそのあだ名において、みごと人生を一貫した人たちのポートレート集である。指物の名人・小林如泥や妖怪博士・井上円了、オバケの鏡花、大いなる野次馬・大宅壮一――これらはみな、名の知られた著名人である。しかし、世に隠れた変人・傑物・天才もたくさんいる――富士山に憑かれて一生を終えた不二のかしく坊、物騒な幕末にあって花や昆虫に入れ込んだ博物大名・前田利保、文明開化の明治に逆らってランプ亡国論を説いた佐田介石、別府温泉を天下に知らしめたピカピカおじさん・油屋熊八、棟方志功を俗と一蹴した風船画伯・谷中安規等々。これら有名・無名の24人の肖像を味読しながら試されるのは、わが身のユーモア感覚と器量であろうか。誰にあっても、あだ名はこわい試金石である。
目次
たばこ和尚
不二のかしく坊
深川親和
てっぽう一貫斎
十来と十代
噺の元祖
名人如泥
山田の伝助
砥石の和泉屋
博物大名〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきこ
1
少し面白い内容を期待していたが、いたって真面目な人々の個性の語りであった。知っている人もいたが知らない人物も多く、興味がわいた。それぞれに付けられた小さなイラストも可愛く心惹かれた。あだ名があるということはその人なりの生き方をきちんとしたということだな、と感心しながら読んだ。大宅壮一には感動したし、妙好人才一の正直さには目が覚める気持ちになった。2014/01/27
mimm
1
面白いあだ名をつけられた有名人を紹介していく一冊かと思ったら、全くの間違えでした。有名人からあまり知られていないけど、内容を追っていくとその人の残した業績はすごく有名!という人々へつけられたあだ名、通称、呼び名。有名無名24人の人生は、やはり凡人とは一味違うのね、という印象でした。2013/05/28
メルセ・ひすい
0
8-21 赤93 いわゆる・言われの話 那須の話から不二山・天下に二つとないお山・・★あだ名がつくほどの、そしてそれが後世にも伝えられるほどの強烈な個性を持った日本人・紳士録。・前田利保・大倉喜八郎・・オバケの鏡花、大いなる野次馬・大宅壮一、富士山に憑かれた不二のかくし坊、別府温泉を天下に知らしめたピカピカおじさん・油屋熊八…。あだ名において、見事人生を一貫した有名・無名24人の肖像。列伝・・いずれ・・人は脳の動物・・ それを鍛えないと・・それがホントのヒトデ無し! 読書は脳の糧。勉強が強烈な個性の餌? 2007/02/11