内容説明
徳川将軍家15代の歴史は、大奥の女たちを抜きにして語ることはできない。将軍の世継ぎを産むだけの存在ではなく、表の政治にも密接に関わることで、歴史を動かし、時には大きなスキャンダルを起こすこともあった。大奥はいつできたのか? 実際の仕事とはどのようなものだったのか? 給料は? 日常生活は? 引退後の生活は? ベールに包まれているからこそ興味津々の大奥の深奥を、コンパクトにまとめた一冊。
目次
序章 大奥をのぞき見た人びと
第1章 大奥の誕生
第2章 終身雇用のキャリアウーマン
第3章 大奥の暮らし
第4章 禁裏をまねる大奥ファッション
第5章 将軍の代替わり
第6章 伝説の大奥女中
終章 徳川家存続に奔走した嫁姑
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわん
19
2006年11月の本。大奥に焦点を絞り江戸時代の風俗をみる。巻末の正室・側室一覧や真ん中辺りの大奥の見取り図がよい。見取り図は他書にもあるが、本書では部屋の使い方を細かく解説。興味深い人物・事件が多数登場。やはり江戸時代の「奥」は深い。2021/03/21
シュラフ
19
徳川の歴史の中で女たちが大きな役割を果たしたことに驚き。例えば 寛政の改革の松平定信の老中就任に暗躍したのが大奥の御年寄の大崎。だが、定信は大崎の「老中と老女とは御同役のことゆえ」の発言に激怒して大崎を放逐・・・以後 大奥改革に取り組むも・・・就任六年後には大奥の政治力によりその政治生命を絶たれたという。また、有名なのが幕末において徳川家の存続に奔走した天璋院と和宮の嫁姑の活躍。二人の奔走がなければ徳川家の厳罰は避けられず、日本の歴史における明治維新のせっかくの快挙も後味の悪いものになっていただろう。2014/11/08
カタコッタ
17
想像以上に大奥の女たちは逞しく面倒だ。300年近い徳川時代を影で操っていた大奥の女たち。膨大な資料を元に新書では書ききれない内容を読み易く書かれているが、私は人物と内容が追いつかない程多岐に渡り、読み終わるまで時間がかかりました。でも読んでよかったと思う本です。2022/06/12
rueshё
13
過去の記録を遡って登録。2008/05/08
B.J.
10
●元禄14(1701)年3月14日、殿中松の廊下で吉良上野介に斬りつけた浅野内匠頭を抱き留めたのは御留守居の梶川与惣兵衛(よそべえ)である。思わぬ出来事に遭遇してとっさに抱き留めたその結果は、当日の取りさばきが見事であったとほめられたうえに、五百石加増されて知行高千二百石に躍進した。しかし、与惣兵衛の心は一向にはずまない。 ●「大奥」という呼び方は、徳川将軍家の呼称であって、諸大名の場合は、「奥向」もしくは「奥御殿」と呼んで区別した。・・・本文より2020/02/22