内容説明
堀江貴文、村上世彰、東京地検特捜部。彼らの闘いが描き出す現代日本社会の実相。2006年に証券取引法違反容疑で逮捕、起訴された、二人の「カリスマ」。「時代の寵児」としてもてはやされた彼らは何をしてきたか、なぜ、摘発されたのか。社会の新勢力を代表する彼らと、旧勢力を代表する検察側との死闘を暴きだす、同時代ノンフィクション。
目次
第1章 ソニー強奪
第2章 弾圧再編
第3章 疑惑の真相
第4章 粉飾裁判
第5章 シンパシー・フォー・ザ・デビル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
29
メディアを中心に創り出される「良い役と悪役」。マネーゲームという共通の土俵での技の掛け合い。堀江氏が、裸の王様となる過程が佳境。法制上の問題ではなく、倫理上の問題を如何に咀嚼するか。どこか、持てる者の狂演という印象。一方、法の番人の特捜部。こちらも法を犯したわけではないが、一種司法取引に基づく”狙い撃ち”。考え方によっては、これまたマネーゲームの一端なのかもしれない。どこか世知辛い世の中だなぁ・・・。2015/04/10
佐島楓
20
改めて書籍の形でライブドア事件・村上ファンド事件を読むと、この人たちは壊れているとしか思えなくなった。実体のない資産を巨額のカネで動かす、まさに拝金主義。驚きの裏話に突っ込んでいたり、検察側の問題にも踏み込んでいたりと、読み応えのある本だった。2013/07/04
ミエル
11
当時、途中から情報が規制されていたように感じていたわけで、少しはすっきりしたような気もする。と言っても。事件報道が最終局面までしっかりと伝えられることの方が稀なわけだけど。こちらの顛末も一般的には有耶無耶になったままのイメージが一応払拭された。10年が早いような遅いような感覚になる1冊。2016/01/29
月をみるもの
9
"堀江や宮内たちには、新しいテクノロジーやサービスを提供し、安定的なキャッシュを稼ぐ力はなかった。一方、村上は結局は裁定取引狙いの短期の株式売買が中心で、株を取得した企業を再生させて企業価値を高めることはできなかった。堀江の近鉄バファローズ買収宣言以来、二年に渡ったヒルズの劇は終演した。それはまるでシャーレに培養された有象無象の微生物が突如劇的に進化し、だが瞬く間に絶滅していくような、そんな光景だった。まるでアルジャーノンの物語のようだった。彼らでは「年寄りの天国」ニッポンを突破することはできなかった"2018/10/05
kochi
6
「堀江と村上の滅亡にもっとも溜飲を下げたのは、こうした大手メディアの支配者たちだったろう」と書いているが、朝日新聞の記者として、どうなのか聞きたいのは私だけ?2011/05/28