内容説明
信虎追放、信玄陣没、勝頼自刃――。
天下に名をとどろかせた甲斐の武田家。風林火山を旗印にしたこの強大な騎馬軍団は如何にして生まれ、そして滅んだのか。信虎、信玄、勝頼という武田三代にまつわるさまざまなエピソードから、埋もれた真実が明らかになる! 著者の代表作『武田信玄』の基礎をなしたともいえる七篇を集めた短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
123
カリスマ信玄の隆盛、そして背中合わせの滅びのカタルシス。武田家といえばそんなイメージをいだいています。その殆どが50年以上前に発表された短編集ですが、ツボを押さえた読み味はまさに巨匠のそれ。エンタメを意識しながらも硬質な筆致が哀愁感を際立たせる。武田三代-信虎、信玄、勝頼のAnotherHistory。若き信玄の智謀と武田家の内紛をフィーチュアした「異説晴信初陣記」が面白い。腹心の板垣や忍者の深謀遠慮がニクいほど効いてます。2021/01/20
Book & Travel
46
この夏休みの山梨行きのお供にした本。かなり以前に読んだ『武田信玄』よりも前に書かれた、武田家に纏わる短編集。古い作品だが読み易く、丁寧な人物描写と背景に描かれる甲斐の風景が味わい深い。信玄に追放された信虎が、勝頼の代に甲斐に戻る模様を描いた『信虎の最期』や、山本勘助・軍師否定説を掘り下げた『まぼろしの軍師』、最後に武田を裏切る穴山梅雪と黒川金山に纏わる『武田金山秘史』など、ツボを突いた題材が、武田を書き尽くした著者らしい。武田勝頼と武田家滅亡については、史実の研究がどうなのか、もう少し詳しく知ってみたい。2019/08/16
Tadashi_N
39
狂気の父を持つ息子、偉大すぎる父を持つ息子の話。戦を制するのは武力だけではない。2018/01/25
detu
36
新田次郎『武田信玄』全四巻を読んだのはかなり以前でした。先頃、別作者の勝頼の最期の短編を読んでまた、武田信玄に興味が湧いてきた。本書は短編七作、かなり古い出版にも関わらず読みごたえは抜群。甲斐、信濃を思い浮かべながら近いうちに『武田信玄』を再読したい。2018/09/17
金吾
34
○武田氏に纏わる短編集です。悲哀を感じる話ながら視点が面白かったです。「信虎の最期」「武田金山秘史」が良かったです。2024/05/16