内容説明
薫里は33歳のフリーライター。仕事は順調で、妻子ある年上の恋人ともうまくいっている。年下の圭ちゃんは新鮮な喜びをくれる存在。同時に動きはじめた二つの恋はどこへ向かうのだろう……。しなやかな意志をもち、自然体でいきる女性を描いた著者初の長篇恋愛小説。深遠な感情、ささやかな発見、一瞬の風景を、随所に織り込んだ短歌が鮮烈に伝える、現代の〈うた物語〉。映画「TANNKA」原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
279
主人公は薫里33歳。お相手の男性はM、45歳妻子持ちと、圭26歳独身フリーターのトリアングルな関係。これが今時は珍しい歌物語で語られてゆく。小説であり、あくまでもフィクションの世界なのだが、作品の読まれ方は、限りなく私小説風のものと捉えられるだろう。もちろん、作家本人もそれを承知の上で書いている。大胆にして、したたかなのだ。なお、性的な描写が多いのだが、これが実にあっけっらかんとしていて、淫猥さは微塵もない。情感や情念は歌にこめられている。例えば「水密桃の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う」のように。2012/09/28
masa@レビューお休み中
120
感情移入してしまうと、さまざまな想いが放出してしまうが、物語としては実に面白くて、一気に読了してしまうほどだ。主人公の薫里は、青山に拠点を構える33歳のフリーライターである。そんな彼女には恋人がふたりいる。妻子ある身年上のカメラマンであるMと飲み屋で知り合った年下でフリーターの圭ちゃんである。薫里は、ふたりの男の間を行ったり来たりする。出会った頃の昂揚感、慣れてきた頃の安定感、終わりに近づく頃の収束感。どの時期にもためらいと迷いがあり、終わりに近づけば近づくほど、秘めていたはずの想いが露呈していくのだ…。2014/07/16
mariya926
60
この本は読んで良かったです。教えてくれた読友さん。ありがとうございます♥所々に短歌が散りばめられていて、最初は慣れなかったんですが、読んでいくうちに読むのが楽しくなりました。おいしいものを食べ、旅行に行ったり会いたい時に会えるいいとこ取りの大人の男のMさんと、若くて夢は将来は結婚を考えたら微妙だけど恋愛するにはいい圭。私は主人公より作者が大人だなぁと思いつつ読みました。主人公は揺れているけど、作者は確固たる信念を持ってこの本を書いている気がするからです。「恋愛より楽しい結婚なんて、あるわけないでしょう」2017/01/12
ピロ麻呂
49
ラブストーリーの随所に短歌が織り交ぜてあり、まるで現代版の源氏物語のよう☆加藤千恵作品もよく短歌とショートストーリーをミックスしているけど、さすが俵万智♪物語の途中、ふと思い付いたように女性の気持ちが詠まれてるヾ(≧∇≦) 短歌が好きな方におすすめしたい作品です(^o^)2017/02/19
miri
41
年上の男M、年下の男圭。Mとは長く不倫中。Mとの関係から何を欲しいか、自覚的になるために年下の男は利用される。人は生きているだけで他人を傷つけるものだが、傷つけるということに明らかに鈍感な主人公。不倫する側、奪う側の心情が本当に丁寧に描かれる。どちらかというと俵万智側の人間だと自覚はあり理解できる部分はあるが、あまりに正当化が過ぎないか。2025/07/08




