内容説明
日本を蝕む神経症的格差。人間は経済最優先では幸せになれない。「勝ち負け格差論」では根本は何も見えてこない! 日本の格差社会の問題と、対策としてのメンタルヘルスのあり方を考える。
目次
第1章 過剰競争意識(競争は人にどのような影響を及ぼすか 「大企業従業員症候群」 ほか)
第2章 ラブ・ミー・リターン(ストレスか、諦めか 職場生活の満足度は世界最低 ほか)
第3章 損得優先(すべてに経済を優先させるのは 外からの要求にばかり応えるのは ほか)
第4章 ホモ・パチエンス(「成功と失敗」「充足と絶望」 ホモ・ファーベルの悲劇 ほか)
第5章 心理的衰退(いかに心の問題が無視されているか パーソナリティーの問題から食餌療法・運動療法まで ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TakaUP48
54
「心を軽んじる国は、一時は栄えてもいつかは必ず滅びる」。日本を、そんな国にしたくないと筆者は怒りに震え筆を!「勝ち組・負け組」という日本の競争主義は、神経症的競争*。人々は格差社会で勝ち組になろうと、無理をして心理的に病んでいく「格差病社会」。過剰な競争意識の裏で自己蔑視と抑うつ状態にある。今や日本の危機は、災害や金融危機ではなく心の問題が真の危機。今の教育は、生きる基礎を教えていない。成果主義的教育は、お金では買えない人間関係を教えない。小学校の英語は正気の沙汰ではない。拝金主義を憂い心ある国を求める。2021/11/15
Yuko2
2
「日本が世界から尊敬されるために必要なのは、世界一の経済力ではなく、世界一の心のあり方である」と、著者は終始、日本の過剰な競争意識・神経症的社会について述べている。社会全体の意識改革として一読の価値があると思う。2008/09/07
sin-ryu
1
競争と競争意識の違い2013/12/12
gorobee
0
現実の競争はアメリカのほうがすさまじいが、競争意識は日本のほうがすさまじく、年功序列や終身雇用のしくみも日本人の強烈な競争意識がつくりあげたしくみ。すなわち同調性であり、かつては、こうした観念のもとで、総中流の暮らしを手に入れていた。 しかし成果主義の浸透により、勝ち組になろうと無理をしたり、負け組になることを恐れて無理をする。そして心を病んでしまう・・・ 2023/09/05