内容説明
「満月の夜、古池で、俺たちは黒鳥になる」小学生の透は古池公園で人間の言葉を話すカラスに出会うが、その直後から数々の危険に見舞われる。透を助けてくれた老人は、カラスが人間に変身できる不思議な池の存在を教えてくれた。しかし老人は、人間支配を目論む闇組織「黒鳥親切会」に殺され、透もカラスに変身させられてしまい……。直木賞作家の原点ともいえる呪術性あふれた幻想ファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
25
ん?坂東眞砂子なのに、児童書やった。それなりに読者をそらさないけれど、持ち味のホラー色も薄められて、可もなく不可もなく、ちゅうところか。満月の夜の古池では、かようなまがまがしいことが起きているのだ。それを知らない人間たちよ、黒いビー玉のような目の人間に気づいたら、注意せよ。って、もしかしたらあなたもその一味?2016/08/05
青葉麒麟
14
中々独創的なファンタジーで良かったには良かったんだけど、この作家の猫遺棄事件が頭から離れないので、心底楽しめなかった。何であんな事したんだろう?挿絵が良かったんだけど、中盤辺りからさっぱり無かったのが残念。2014/11/20
丘野詩果
12
偕成社ワンダーランドシリーズの中の1冊。あの坂東真砂子氏が児童書も書いていたのね。坂東さんの作品は大好きでファンであり、『山妣』『死国』『狗神』『蛇鏡』他色々読んでそのおどろおどろしい世界をこわごわ覗いていたのだけれど、あの「子猫殺し」の記事でびっくり。パッシングをかなり受けていた。けれど、東野圭吾さんの記事を読んで、それが正確な事実でない事がわかり、一安心。渦中のまま亡くなったのが残念でたまらない。さて、この物語は、カラスが人間の言葉を話しているのを聞いてしまった透が、黒服の男たちにつけ狙われる(続き)2015/09/16
tama
11
図書館閉架本1997年 坂東眞砂子ファン 子供向け なかなか楽しめた。この人初めの頃は民話・怪奇・sexが具合よく混じった作品多かった。この作品はsexだけ抜いたんだな。設定面白い。装丁画がカッコいいので挿絵もそうかと思ったが違った。お子様向け絵。でもp215の絵はとても好い!こうでなきゃー。「長々としゃべっていたと思ったら、きゅうに、返事をもとめられる」そうなんだよ。中年以降の女性の喋りってこれだよ。疲れるんだよ。2022/10/17
秋
10
「満月の夜」「古池で」「俺たちは黒鳥になる」。カラス達の秘密の会話を聞いた事で、カラス達に狙われ文字通り殺されそうになる主人公。カラスを操る組織「黒鳥親切会」によってカラスの姿に変えられた主人公が人間に戻るため「古池」を目指す。何となく手に取ったけど、予想以上に面白かった。人間の死体だと事件になるけど、カラスの死骸なんて誰も気にしない。元々児童書らしいけど、中々に黒い世界。2016/12/26