ハヤカワ文庫NF<br> ソロモンの指環 動物行動学入門

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ハヤカワ文庫NF
ソロモンの指環 動物行動学入門

  • ISBN:9784150502225

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内容説明

孵卵器のなかでハイイロガンのヒナが卵から孵った。小さな綿毛のかたまりのような彼女は大きな黒い目で、見守る私を見つめ返した。私がちょっと動いてしゃべったとたん、ガンのヒナは私にあいさつした。こうして彼女の最初のあいさつを「解発」してしまったばかりに、私はこのヒナに母親として認知され、彼女を育てあげるという、途方もない義務を背負わされたのだが、それはなんと素晴らしく、愉しい義務だったことか……「刷り込み」理論を提唱し、動物行動学をうちたてた功績でノーベル賞を受賞したローレンツ博士が、溢れんばかりの歓びと共感をもって、研究・観察の対象にして愛すべき友である動物たちの生態を描く。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

243
とっても魅力的なタイトルなのだが、ドイツ語原典では「彼は獣や鳥や魚と話す」である。英語版は"King Solomon's Ring"だから、日本語版はこちらから。どちらのタイトルにするかで売れ行きは随分違っていただろう。内容は、副題にもある通り動物行動学の入門書だ。本書はローレンツ自身が観察した豊富な実例に満ちている。中でも驚くのは、魚でさえもどうやら考えて行動しているらしい例の見られることだ。トゲウオの場合がそれだ。また、「エントツソウジガキマシタヨー」とわめくコクマルガラスの例も微笑ましい。2013/08/08

mae.dat

183
ソロモンの指環とは、旧約聖書にある動物と会話ができるアイテムとのこと。著者ローレンツ博士は、それが無くてもできるもんねー。と。確かに知り過ぎている。良く見て感情を上手く読み取っている。この本は怒りから生まれたと前書きにある様に、物言いが強目に感じてね。それに動物を上等下等に分けてしまうのも違和感。それは時代かな?と思って読み進めて行きました。最後、訳者後書きに日高せんせーとの対談が楽しかったとの事に触れられていて、あぁ、動物学者は数あれど、行動生態について深く語り合う方に飢えていたのかな?と、思ったり。2021/02/19

小梅

161
大好きな日髙敏隆先生の書籍の中で紹介されていたので辿り着いた本。ノーベル賞を受賞されてる、鳥の刷り込みを発見したコンラート・ローレンツ博士の動物行動学入門。動物を観察してる博士の姿が見えるようだった。特にコクマルガラスの記述と、ジャッカルとオオカミの違いによる其々の系統の犬の習性の違いの記述が興味深かった。訳者である日髙敏隆先生が博士との合流の様子をあとがきに書いていて、これがまた良いんだなぁ〜2014/07/26

ゆのん

93
以前から気になっていたNHKの『100分de名著』を8月からテキストを購入し視聴し始めた。次回は『ソロモンの指環』ということで購入し読んだ。著者は動物行動学の権威でノーベル生理学医学賞受賞者。難しい内容かと幾分緊張して読み始めたのだが非常に楽しい本だった。特に『ハイイロガン』『コクマルガラス』はあまりの鳥達の可愛さに微笑みながら読んでしまう。著者の研究者として観察するだけではなく動物に対する大きな愛情は素晴らしく、その愛情に応える動物達の純粋さと必死さは胸を熱くさせる。2018/08/12

kokada_jnet

88
ほぼ30年ぶりの再読。動物を自宅で、放し飼い状態で大量に飼った体験をもとにした観察エッセイ。1949年に原本が初刊で、その後、多数あらわれる、動物ネタのユーモアエッセイの「元祖」はこの本だったのか。「野生のエルザ」もムツゴロウもクロコダイル・ハンターも、ローレンツの系譜ということね。最終章の同種どうしの攻撃性を描いた部分だけ、異質な感じ。刊行が古い本なので、犬の祖先がオオカミとジャッカルの2種類あるとか、間違っている情報もあり。翻訳刊は1963年で、翻訳文体も古びているかも。2018/08/16

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