内容説明
「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです――。「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。盛り下がりまくりの地味な学祭。「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ。
目次
一人称問題
通学電車の先輩へ
完敗家出マニュアル・旅立ち篇
完敗家出マニュアル・大阪篇
完敗家出マニュアル・金銭問題篇
完敗家出マニュアル・捕獲篇
学祭の絶望
地味女子は卓球
下宿生活の掟
紅ショウガの夏休み
あんたらなんかだいきらい
男子こわい
雪と花束、チョコレイト
直木賞をとる方法
赤点クィーンの思考回路
ぼくたちの屋上
もさもさ
夜空の向こう
下宿生の一日
あの二月
卒業式は二回
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
128
底辺で女子高生活を送っていた様子をほろ苦く語っていますが、実際はかなり凄まじかったのではないかと思わされます。考え方や行動がひねくれているようにも見えますし。文句を言いながら色々もがいていたのでしょう。自分自身地味に目立たず高校生活を送っていましたが、淡々と過ごしているうちに終わった感があるので、共感することこそなけれど、ほんの少しですが、青春しているのを感じました。何だかんだ言っても高校時代って思い出に残るものなのかなぁと。2017/01/29
エンブレムT
72
作者自身の地味系女子高生時代を振り返った、負の部分全開エッセイ。「どこまで本当なんですか?」と、思わず聞きたくなるような『行き当たりばったり自分探しの旅』がいろんな意味で凄かったwぶっちゃけ、その行動力とか思考回路って人としては全然底辺じゃないと思う。でも、女子高生のヒエラルキーって「いかに周りから浮かないで自己演出出来るか」という独特かつ特殊な価値観に支配されてるからなぁ・・・などと、遥か昔の自分の高校時代を振り返りつつ頷きながら読みました。ちなみに『女子と男子の覚えてる率』は、私も作者と同じです(笑)2011/05/11
マコポン
66
作者の高校時代の実話とは思わなかった。小説を何冊か読んではいたが、こういう高校生活を送っていたとは・・・。でもなかなか面白いエッセイだった。2015/06/29
lonesome
63
「ミホちゃ――ん(仮)!」 まさに入学から卒業までの高校生活の三年間がここに綴らている。「ハツは私!?」って思ったと「蹴りたい背中」を読んだ時に思ったって書かれているけれど、本当にそうだった。だけど豊島ミホには美術室や保健室や下宿先にも居場所があったし友達やいい人たちにも恵まれて。だから読んでいて切ないばっかりじゃなくて声を出して笑うエピソードもあって。あ、ミュージックスクエア聴いてたんじゃpillows好きかな? ―その、みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです。(p.75)2014/02/19
forest rise field
57
作家さん自身の高校時代を振り返るエッセイ。時代は90年代後半、雪国秋田の冴えない女子高生の日々。劣等生だったからこそ見える世界。黒歴史は隠したがるもの。本にまとめ上げた作家さんすごい。男女の違いすらあれど、かなり共感出来た。2024/03/06