新潮新書<br> ある北朝鮮兵士の告白

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新潮新書
ある北朝鮮兵士の告白

  • 著者名:韓景旭【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 新潮社(2012/02発売)
  • 3月の締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~3/31)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106101748

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内容説明

食料が足りなければ農家を襲い、肉が食いたければ豚を盗む。上官に取り入るには賄賂を渡す。恋に破れた男は大量殺人のあげくに自爆死。脱走した兵士は自動車強盗を働く……。朝鮮族の研究者である筆者が中国で出会った脱北者から聞いたエピソードの数々。立身出世の夢を持って入隊した軍隊での生活は想像を絶するものだった。一人の北朝鮮人兵士が十年にわたる軍隊生活のすべてを包み隠さず語りつくした貴重な記録。

目次

憧れの軍隊生活―ついに果たした軍隊入り。私を待っていたのは想像を絶する過酷な生活だった。
両親の話―乞食から身を起して大学まで出た父。地主から身を落とし、苦労し続けた母。
新兵訓練始まる―口から泡を吹くものが続出する過酷な訓練。我々は常に空腹だった。
兵士としての第一歩―軍服泥棒の濡れ衣を着せられた私は故郷に逃げ帰ったが、居場所はなかった。
何もかも盗んで調達した―豚、トウモロコシ、カボチャ…。食料は襲撃して手に入れるのが基本。
抜擢、昇級―士官学校で食器盗難事件を解決して私の評価は高まった。
農場を襲う―出世しても悩みはいつも物不足。解決するには泥棒しかない。
親友の死―腕っ節が強いのに涙もろかった親友の悲しい死はいまでも忘れられない。
命がけの高速道路建設―強行スケジュールの突貫工事に兵士は疲れきった。そして大惨事が…。
楽しき副業組―食料調達は楽しかった。野菜を育てたり、メンタイを分けてもらったり…。
砕け散った夢―手が届きそうだったエリートへの道は、突然閉ざされてしまった。
脱営、そして放浪と強奪の日々―失意のあまり軍隊を飛び出した私は乱暴狼藉の限りを尽くした。
一兵士として再出発―やはり軍隊に幸せはない。目撃した若きエリートたちの悲劇。
故郷―上官とともに帰郷したものの、そのおかげで両親は犬を殺すことになる。
初恋と爆発―軍人の恋は成就しづらい。失意の果てに大量殺人を犯す兵もいた。
失望―炭鉱に送り込まれた私には希望は残されていなかった。
夢の国、中国に行く―犬ですら満腹だというその国を目指し、私は川へ飛び込んだ―。
脱北のノウハウ―密かに、そして周到に―それが警備兵買収のコツだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Humbaba

6
軍人は訓練を積んでいるために,一般人と比べれば行動力があり,かつその行動を完遂するだけの能力がある.良い方向にそれが使われれば問題ないのだが,台所事情が苦しくなればそれを自分たちの戦力を維持するために使う.それにより,国民はさらに疲弊していってしまう.2012/11/08

晴天

5
中国に暮らす一人の元DPRK兵士から聞き取り調査した軍隊生活回顧録。兵隊に入ると食料物資のあまりの欠乏から、何をするにもまず道具や食料を盗むことからはじまり、また、盗みをせずに生存することは困難だったことに圧倒される。物品は他の部隊や施設から盗むが食料は民家から寸暇を惜しんで調達し、結果、人々も自衛し軍民関係は険悪にならざるを得ない。しかし盗みをせねば何も為せないことは上官も知悉しており、兵士の盗みは基本的に罰せられないばかりか解決能力を評価されるあたり、古典的な軍隊だと思った。2020/10/04

だいすけ

5
国の在り方、社会の在り方が人間をこうも翻弄するものなのか。人は生まれる国を選ぶことができない。この差は何なのか。運命というにはあまりにも人を馬鹿にしすぎている。2017/02/03

金吾

4
やや昔の話ですが、軍人でさえ食事に窮するのは大変なことだと思いました。未だに存在しているのは凄いと思いつつ、何故なんだろうと考えさせられました。2019/12/29

カール

4
北朝鮮から亡命したある兵士の哀愁溢れる現実を描く。彼曰はく、兵士にすらまともな食事にありつく事すら厳しく、民衆から略奪する事を覚えない限り出世どころか命すら危ういという。もはや失敗国家の類。一体どうやって反政府勢力の勃興を抑え、まだ国として成り立っているのか謎だ。核兵器やロケット技術、綱渡りの様な外交よりもむしろ、徹底して敵対勢力を弾圧し国の寿命を延ばす統治システムこそ目を見張る物がある。そして一番酷いのが、下手な小説よりかも兵士から語られる話が不謹慎ながら面白いという事。「事実は小説よりも奇なり」だね。2017/01/02

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